【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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ついに進級試験

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「……ご、ごめんなさい」
弱々しく謝る女子達をのぞき込む。
「どうして謝ってるの?」
「みんなって言うのは……う、嘘……で……」

「へぇ。……じゃあ君たちは、証拠もないのに想像だけであんな物騒な話をしてたって事?」

その時、一人の女子が泣き出した。
「うっ……。ごめんなさい……サオトメ様、怒らないで……」

「君たちは何も知らないでしょ?あの子が陰ながら、どれだけ努力をしてるのか」
ローレン……

「なのに嫉妬でそんな変な想像するの止めてくれる?空想上であっても本当に不愉快だ」

「わ、私たちがに嫉妬なんて……」
「じゃあ、これが何なのか教えてよ。僕には、ただの嫉妬にしか見えなかったけど?」


ピシャリと言ってのけたローレンに、もう何も言い返せない女子達は泣きそうに俯いた。
「そ……それは……」
「もうこれ以上、僕の侮辱ぶじょくするのは許さないよ」
そう言うと、もう1人の女子も泣き出してしまい、2人して逃げるようにこのテラスから立ち去って行った。


凄い……やり取りを見てしまった……。

ローレンが私をかばってくれた事は凄く嬉しいけど、女子を泣かしてしまって大丈夫だったんだろうか。

ローレンはとても心優しい人だから、今頃心が痛んでいるんじゃないかと凄く心配だ。
それに……変なうわさが流れてしまったりしないだろうか。



……僕の大事な人……。
私を守る為に言ったんだろうけど、そんな風に言われるのって、なんか凄く嬉しい。


で。……どうしよう。

私、ずっとドアの影に隠れたまんまだけど、そろそろ出て行った方がいいよね?

でも、立ち聞きしちゃっていたし、ローレンにとってあの会話を聞かれるのは不本意かもしれないし……。


どうしようと悩んでいた時、ドアにひじが当たってしまい、ギッと小さな音が鳴ってしまった。

慌ててローレンを確認すると、振り向いたローレンとバチっと目が合ってしまう。
「あっ……」
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