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ついに進級試験
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ディオンは、このネックレスが魔法までも封じ込める事が出来る闇魔法で作った物だと思ってこの話をしているんだろう。
でも、もしそうだとすると1つ矛盾がある。
それは、私はこのネックレスを付けていてもずっと魔法を使えているという事だ。
いつも掴んでいた自分の胸元にあるネックレスの石を、一瞬ためらってからシャツまでも握りつぶすようにして握る。
「ほぼ黒だろうけど、関係あるかねぇかは調べてみないと分からない。だから貸せ」
再び手の平を出され、人差し指をクイっと曲げられる。
でも私はキッと睨んで、絶対取られまいとディオンに背を向けた。
「貸さない」
知りたくない……。
「お前なぁ……ここまで話したのに渡さねぇのかよ。気のせいだったらすぐに返してやっから、さっさと貸せ」
「や、やだ!」
もし…………気のせいじゃなかったら?
どうするの?
私からこのネックレスを取り上げるの?
唯一、愛してくれている両親がくれた、この大切なお守りを……?
それに……
お父さんとお母さんが誰かの命を代償に、このネックレスを作らせたかもしれない、なんて……そんな恐ろしい事あるわけないって頭では思っているのに、全否定出来ない。
怖い……
本当の事を知るのが……
「おい、俺がキレる前に貸せ」
「嫌っ!」
その時、しびれが切れたのか目を吊り上げたディオンが勢いよくソファから立ち上がった。
「貸せっつってんだろ!」
いつもなら少し怯んでしまいそうな所だけど、怯んでなんかられない。
「嫌、嫌!!絶対駄目!!私からこのお守りを取らないで!お願い!」
「こんの……こうなったら無理にでも……」
怒りのこもった声を出して私に指先を向けてくる。
それを見た瞬間、魔法で取り上げられてしまうという予感が走って体をギュっと硬直させた。
でも、もしそうだとすると1つ矛盾がある。
それは、私はこのネックレスを付けていてもずっと魔法を使えているという事だ。
いつも掴んでいた自分の胸元にあるネックレスの石を、一瞬ためらってからシャツまでも握りつぶすようにして握る。
「ほぼ黒だろうけど、関係あるかねぇかは調べてみないと分からない。だから貸せ」
再び手の平を出され、人差し指をクイっと曲げられる。
でも私はキッと睨んで、絶対取られまいとディオンに背を向けた。
「貸さない」
知りたくない……。
「お前なぁ……ここまで話したのに渡さねぇのかよ。気のせいだったらすぐに返してやっから、さっさと貸せ」
「や、やだ!」
もし…………気のせいじゃなかったら?
どうするの?
私からこのネックレスを取り上げるの?
唯一、愛してくれている両親がくれた、この大切なお守りを……?
それに……
お父さんとお母さんが誰かの命を代償に、このネックレスを作らせたかもしれない、なんて……そんな恐ろしい事あるわけないって頭では思っているのに、全否定出来ない。
怖い……
本当の事を知るのが……
「おい、俺がキレる前に貸せ」
「嫌っ!」
その時、しびれが切れたのか目を吊り上げたディオンが勢いよくソファから立ち上がった。
「貸せっつってんだろ!」
いつもなら少し怯んでしまいそうな所だけど、怯んでなんかられない。
「嫌、嫌!!絶対駄目!!私からこのお守りを取らないで!お願い!」
「こんの……こうなったら無理にでも……」
怒りのこもった声を出して私に指先を向けてくる。
それを見た瞬間、魔法で取り上げられてしまうという予感が走って体をギュっと硬直させた。
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