【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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不安定な魔力

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「メ……イ……」
「目が覚めたのね!!シエル!!」
手を握っていたメイは立ち上がって私を強く抱きしめた。

「良かった!」
「メイ……」
「もう、目を覚まさなかったらどうしようって思ったじゃないっ!!」

抱きしめられている私は、メイの肩越しにロッキングチェアに座るディオンと目が合った。
ディオンの無事を確かめてホッとした瞬間、すぐ横から声がした。

「ほんま良かったわ……」
「シエルお姉ちゃん……」
「目が、青い……変わったのは髪色だけじゃないんだ」
その声に視線を向けると、ルイーゼやローレンやアラン、クラスメイトたちの顔が飛び込んで来た。


「……み……んな……」
ルイーゼとアランはボロボロと涙をこぼし、ローレンは目を赤くしている。

……えっ?
私、そんなに長い間寝ていたの?


「シエルちゃん!!遅いよ……っ!!私たちがどれだけ待っていたと思ってるの!?」
ルイーゼが泣きながら怒ってくるから思わず目を伏せてしまう。


「ご……めん……」
「本当に、待ちくたびれたわよ!でも……戻ってきてよかった……。本当に……よかった……」
ルイーゼのその言葉に、目頭に涙が溜まってくる。

「みんな……本当に、ごめんなさい……」
と言うと、両肩を掴んで身を離したメイが、私に優しくさとすように言った。

「違うよ、シエル。こういう時は『ありがとう』って言うんだよ」
「ありがとう……?」

「みんな、怒ってるんじゃないの。ルイーゼはあんな言い方したけど、シエルが目を覚まさなかったらどうしようって、ずっと不安だったの」
その言葉を聞いてルイーゼに目を向けると、涙を流すルイーゼが映った。

「私もそう。本当、困るほどに心配したわ。でもそれは……私たちがそれだけシエルの事が好きだからなのよ」

メイの言葉で、我慢しきれなくなった涙がほほに伝わっていく。
「うっ……ほ、本当?私、何も出来ないし、何も返せないのに……」

「返すって何よ。友達なんだから、そんな貸し借りの関係なんかじゃないでしょ?それに、シエルからはいつも沢山たくさんもらってるよ」
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