【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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魔法会

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あの古びた本には、世界線の理論について詳しく書かれてあった。

世界線のようなものはちゃんと存在していて、理論上、魔力にけたものならそれを超える事は可能という内容が記されてあった。

その辺りまでは、胸をおどらせながらページをめていたのを覚えている。


その手は、ある内容を目にしたときに止まった。

それは、
『長年魔法研究者が研究を続けているが、まだ実現出来た研究者は一人もいない』という一文だった。

そして、長年にわたり研究を続けてきた魔法研究者の苦悩がつづりを読んで、さらに愕然がくぜんとした。

ちなみに、前世という概念がないのか、研究されていないのか、生まれ変わりなどについて書いてある本は1つも見つからなかった。


あの本の内容が本当なら、現時点では『復讐は不可能』という烙印らくいんを押されたのも同然だっら。

その事がショックで、あの時放心状態に……

今でも、魔法が使える世界なんだからなんとかならないのかと思ってしまうけど、たった10年ちょっとしか魔法を習っていない私が、何百年も研究していていまだに実現できていない事を実現させるなんて……無理な話だ。

研究者じゃなくて、大魔法使いなら……
実現できるんだろうか?


過去に大魔法使いについて調べた事があった。
『大魔法使い』というのは役職ではなく、ただ魔力が世界でもトップクラスに長けた人に与えられる称号らしい。

だから個人情報保護という理由で、現在は2人にその称号を与えられているという事以外、大魔法使いの事については謎に包まれている。


もうこの際、卒業したら大魔法使いを探す旅にでも出てみる……?
見つけたら研究者になってもらえないか交渉をして……って、なんか、違うような……。


あの本には、世界線を超える事が出来た時は、時間軸がズレて到着する可能性があるとも書いてあった。

それが本当なら、どの時間軸に着くのかが問題であって、こっちで何年経っているかなんて関係無いって事になる。

と言う事は、私がお婆さんになるまで元の世界線に戻る研究をしていたとして、その間に奴が死んでいたとしても、私さえ生きている間に研究を成功させれたら復讐は可能と言う事になるんだろう。

でもその道って……成功すればいいけど、成功しなかった場合は、残りの人生を棒に振るだけになつてしまう。


この世界に来て約17年も経って、本当は……多少だけど復讐心は薄れて来ている。

精神的な事を考えると薄れて来る方が絶対いいはずなのに……その事にひどい焦りを感じてしまうのはどうしてだろう。
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