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魔法会

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…………

……

「元気ないね。大丈夫?」
Fクラス待機席で心配するクラスメイトの顔がのぞく。

「あ、うん……大丈夫だよ」
書庫でのショックが全く抜けない。
あの本の内容が頭の中をグルグル回って……全然他の事を考えられない。

今更だけど、ディオンの言う通り、代わりに誰か出た方がFクラスにとって良かったのかも……


「あ、最終戦の準備が終わりそうだね」
そう言われてグランドに視線を向けると、さっきまでボコボコにへこんでいたグランドが新品同様のまったいらになっている様子が映った。

「ほんとだ」
よいしょと立ちあがると、クラスメイトが駆け寄ってくる。

「もう行くの?」
「うん」
「今年こそは優勝して、プレミアムメニューをいっぱい食べたいね!」
「うん。そうだね」

書庫からこっちに戻って来て、本当に驚いた。
だって、いつも最下位に近かったFクラスが、ここに来てまさかの1位のSクラスと僅差きんさで2位だったからだ。

私が居なかった間にアランやルイーゼたちが本当に頑張ってくれたようで、1位との差が急激に縮まったらしい。

何が優勝は無理、だ!ディオンめ!
でも、ムカつくけど……今、この場に立ててるのはディオンのお陰なんだよね。結局あの後、めちゃくちゃ頼み込んだし……


書庫で、私に治癒魔法をかけてくれたディオンを思い出す。
『分かった。じゃあ今回だけはどうにかしてやる。
でも貧血は魔法では治せない。一時的に不調というのが感じないようにするのが関の山だ』
『ありがとう。それで十分だよ』
『体が軽くなったような感じがすると思うが、根本は全く治っていないから絶対に無理はすんなよ』
『うん』
『無理したと判断したら、お前を速攻で暴いてやるからな。それの事をしっかり心に刻んでおけよ』


「ディオン……ただ暴きたいだけなんじゃないの?」
誰にも聞こえないくらいの声でぽつりと呟く。


この最終戦に私が勝てば優勝。
魔法会の優勝クラスは、1年間、食堂のプレミアムメニューが食べ放題だ。


と言う事は……
Fクラスのみんなが1年間プレミアムメニューを食べれるのかは、私の腕にかかっている!!

食堂の食事は基本無料。
でもプレミアムというラベルが付いてるメニューは別料金がかかるけど、とても豪華だ。
デザートについては見た目も内容も格違い。

だからローレンみたいに実家が裕福でない普通の人は、誕生日とかの特別な日くらいしか食べる事はない。
ちなみに私は特別な日でも食べた事がない。万年貧乏だし。

でも、そんなプレミアムメニューを、優勝したあと1年間は毎日食べ放題になる!
だから皆本気で優勝を狙いにかかる。

アランやルイーゼたちが頑張った思いに、一気に責任みたいなものが肩にのしかかった気がしてゴクリと唾を飲み込む。
するとスピーカーからアナウンスが流れてくる。

「最終戦の準備が完了しました。選手の皆さまはグランド真ん中へ来てください。最終戦は魔法壁を作っていませんので、応援は各クラスの待機席でお願いします」
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