【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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魔法会

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「多分、これからもこの扉の位置は変わらない。だからお前も今後は俺無しで、階段もこの扉も出現させる事出来る」

やっぱり!?
だから聞いたのよ!

「でも、命が惜しいのなら俺無しで勝手に入らない方がいい」
「え?なんで?」

「このドアには複雑で高度なセキュリティが張り巡らされている」
それは予想通りだけど。でも頑張ったら解けるんじゃないの?
なんたって、私は魔力の覚醒者だし。

「もしこのセキュリティを切らずに入ったら……」
「たら?」

「少なくとも体のどっかが切れそうだな。下手したら数か所いくかもしんねぇ」

その言葉に、一瞬声を奪われた。
「……っ!?」

「結構普通だろ」
それって普通なの!?基準が分からない。

「き、切れるって……どこが!?深く切れるの!?それとも軽くなの!?」
「そこまでは知らねぇよ。調べれそうだけど面倒くせぇ」
「だって、そこ、めちゃくちゃ重要じゃない!?爪とかならいいけど……首とかなら即死じゃん!」
「別に、お前が勝手に一人で入らなければいいだけだろ」

「うっ……」
確かにそうなんだけど……

ディオンが居なくても自分で勝手に入れるようにしたかったのに……
後で恩を売られたくないし。

でも命あっての復讐だ。
そんなヤバそうなセキュリティがかけられているのなら、もう一人で入る事は諦めよう。


もしあの時、ドアノブをひねっていたらどうなっていたんだろう。
そんな事を軽く想像すると、血が引いて行くような感じた。


ディオンは、さっきからずっとドアに魔法を掛けている。
きっとその凄いセキュリティとやらを外してくれているんだろう。

高度な魔法を瞬時に出すディオンが時間をかけないと解除できないセキュリティか……。
確かに、私一人でこのセキュリティを完全に解除するのは無理っぽいって、そそれだけで分かるかも。

そんなセキュリティだらけの部屋に、ディオンは私を入れてくれる。
バレたら絶対ヤバいのに。


理由は……脅されたからじゃない。

「開いた。入るぞ」

本当に分からない人。

「う……うん」

やっぱり、いつか今日の事も含めて恩を返せって言われるのかもしれない。

ディオンがドアノブに手をかけ、グッと回すとギッという音が鳴ってドアが開いた。
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