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魔法会
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しおりを挟む不思議に思って辺りを見ると、いつの間にか自分の周りを囲むように金色の光りの粒が舞っていて、目を見開いた。
「あの転校生に決まってんだろ。お前にあいつの匂い付いてて臭せぇんだよ。もう二度と近付くな!」
そう口を歪めて言われる。
「アランの事?ってことは香水かな?確かにアランの匂いってちょっと強いよね」
「知らねぇよ」
さっき勝った時に抱き着いて来たっけ?
その時に付いてしまったのかな。
そんな事を考えている間に、自分のローブからさっき嗅いだ花の香りに変わっていた。
まさか、これもディオンの魔法?
「そういえば、なんでディオンはそんなにアランの事を嫌うの?初対面の時にもあんな事して……」
「あ?」
あれ?よく見ると、いま物凄く機嫌が悪い?
タイミング間違ったかも……
だとしても、言い出してしまったんだから、もう引かないけど。
だって、これから毎週アランとディオンは顔を合わすんだから。
今後のためにも何が原因だったのか知っておきたい。
「匂いがキツいのが駄目なの?」
そう聞いても無視される。
ってかその理由で殺しかけたのなら、生粋のサイコパスと呼べるだろう。
「確か色気づいてって言ってたよね。アランが教室……」
「アランアラン煩せぇ。お前、やたらあいつを庇うな」
「えっ?……そう……かな?」
全然そんなつもりは無いんだけど。
「まさか、あんなのがいいのか?」
注意深く、鋭い目つきで見つめられる。
「いや、そうじゃないけど……」
と否定すると、目をいっそう細めて忌々しそうに私を見下ろした。
「ふぅん」
「でも、アランはあんな見た目だけど凄く良い人よ」
「へぇ、そうか」
ふいっとそっぽ向いたディオンは、少し間を開けてからポツリと呟いた。
「お前、男を見る目がねぇよな」
「へ?」
「決めた。もう魔書資料室に入れてやらねぇ」
そう言って踵を返してグランド側に足を向けるディオンに「えっ」と驚きの声を上げてしまう。
「な、なんでよ!」
ディオンの後を追いかけると、今度は突然ピタリと立ち止まった。
「うぷっ!」
突然立ち止まったものだから、ディオンの大きな背中にぶつかってしまう私の顔面。
「ちょっと、急に立ち止まらな……」
と言い鼻を押さえると、いつの間にか振り返っていたディオンが私の顔を覗き込んだ。
「……何?」
不思議に思っている私の顔にそっと手を伸ばしてくるディオンに、心臓が微かに早くなるのを感じた。
長く綺麗な指が私の唇に触れ、訳の分からないこの行動にさらに早鐘を打つ。
そして突然、私の唇を指で上下にプレスするように摘ままれ、アヒルのような口にされる。
「んん!?」
「この口は悪い口だな」
目を見開き驚いている私の目の前に、突然テープのようなものが現れたと思うと、なんとそのテープは私の口を容赦なく塞いできた。
「んんっ!?」
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