【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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魔法会

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悠長に前日の夜に寝れるわけがない!

ついに知れるかもしれないんだよ!?
ずっと知りたかった――前世に戻れる方法や脱園方法が!!!!


その時、ひざ上で寝ていたラブの鼻の頭に黄色のチョウチョがヒラリと止まった。

するとラブの目がパチっと開く。
チョウチョは、待機場すぐ後ろにある花壇に飛んでいくと、ラブは猫のように私の上から飛び降りてチョウチョを追いかけ始めた。

その姿にほんの少し癒しを貰った時、地響きがしそうなくらいの歓声が私の耳に飛び込んで来た。

「キャー!サオトメ様ーー!!」
「アランー!頑張ってー!」

その時、パッと空に大きなモニター画面が現れる。
その画面には、向かい合うように立つよく知る人物が映っていた。

「ローレンと、アラン……」
なるほど。だからあんなに人だかりが出来ていたんだ。

アラン目線――

はー。こんなに女の子がいんのに、どこにもシエルちゃんおらんねんけど。
応援してくれへんのんかいな。同じクラスやろ。

きっと、あの時の告白のせいやろうな……。

あの時から、ずっと素っ気ない気もするし。
絶対失敗したよなぁー。言うの早すぎたんかもしれん。

それに、やっぱ言うのは教室じゃなくて、もっと女の子がキュンとくる場所にしたらよかったわ。
って、そんなのがこの学園にあるのか知らんけど。

シエルちゃんが余りにも可愛くて、つい言っちゃったんよなぁ……。
まぁ、可愛いのはいつもやねんけど。ホンマ可愛い。
成分は『可愛い』で出来てるんちゃうか。


「よそ見ばかりしないほうがいいんじゃない?そろそろ始まるよ?」
その声に、透明の魔法壁の向こう側にいる女子達から、向かい側に立つ鎧を着た少年に目を移した。

「ああ。そうやな」
まだ顔部分が開いたままのかぶとを付けている対戦相手は、女みたいに綺麗な男だ。

魔法で出した剣で戦う相手としては、なんか気が引ける。悪いけどめっちゃ弱そうや。
どうせなら、ゴリラみたいな奴の方が遠慮なく行けそうで良かったのに。

魔防具のよろいを着るルールが無かったら、どこを打っていいのか分からんかったくらいや。
と考えながら相手の姿を見ていると、横から甲高い声援が耳に飛び込んで来た。

「キャー!サオトメ様!カッコイイー!」
「サオトメ様頑張って~~!!」
さっきから凄いな。なんやねん、サオトメって……(汗)。

でも、そのキャーキャー言われてるサオトメ様とか言う奴からめちゃくちゃ睨まれてる気がすんねんけど?
元々こんな態度の奴か?敵意を感じるんは気のせいか?


「それでは魔法会の第二回戦、魔法剣術対決を開始します」
審判役が青く晴れ渡る空に向けて手を上げると、相手も自分も頭上にある兜のカバーを口元までスライドさせて視野を狭めた。

「よーい、始め!」
その声と共に、練習したばかりの魔法の剣を手の先から出そうと、手の先に意識を傾ける。
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