112 / 395
転校生
9
しおりを挟む
そう聞くと、まさかのため息がつかれて悩まし気に額に手を当てた。
「もしかして頭痛いんですか?なんか顔色良くないですし、私でよかったら一緒に保健室に……」
「大丈夫だよ。そういうのじゃないんだ」
「そうなんですか……。じゃあ、どうしたんですか?」
こんなローレン、友人として凄く心配になる。
「シエルちゃん……」
そして何かを訴えるような目が向く。本当に顔色が悪い。
「やっぱり保健室行きしょう。一回診てもら……」
「違うんだ!そうじゃない!」
強く言われた事に驚き固まってしまうと、独り言のようにローレン呟く。
「……あいつ、僕のシエ……」
直後、突然我に返ったような目をしてバッと口を塞ぐローレンに、頭の上にハテナマークを浮かべる。
「えっ……?」
今、僕のシエルちゃんって言いかけた?
いや、そんな訳ないか。酷い聞き間違いだ。
「……ご、ごめん!もう行くよ」
座ったばかりの席から慌てて立ち上がるローレンを驚き見上げる。
ローレンは行くと言ったのに、なぜか私の後ろに回った。
「でも、これだけはさせて」
「え?これって?」
私の質問の返事が来る前に、ローレンは私の肩にすっと手かざして来た。
すると、その手からポウっと白い光が見えて頭の上にハテナマークが増えていく。
「ローレン、何してるんですか?」
動いていいのか分からなくてジッとしていると、目の端で光が消えたのが分かった。
「…………祈願?的なもの、かな」
すると今度は頭上でふわりと優しい光が舞っているのが自分の前髪の隙間から見えた。
「祈願?」
意味も分からずにされるがままの私は、「よく分からないんですけど、体調悪そうですし、魔法は使わないほうがいいですよ」と言った。
するとローレンは、「僕は大丈夫だよ。それに、こうしないと余計に悪くなりそうだから……」と謎めいた言葉を落としてきた。
ローレンが立ち去った後、すぐにメイに言われる。
「やっぱあんた、すっごくサオトメ様に愛されてるわねー。羨ましいわ」
「またメイはそんな事言う!本当に止めてよ!そんな訳ないって言ってるじゃん!」
と口を尖らせると、隣のルイーゼが「鈍感って罪ですね」と独り言のように呟いて食後のオレンジジュースを飲み干した。
…………
……
「次、移動教室やっけ?」
振り返り聞いてくるのは前の席のアラン。
今日もゴツいアクセサリーのオンパレードだ。
これが私物じゃなく、学園内のお店で売られているというから驚きだ。
「そうですよ」
「あっ。でも俺、このあと管理事務局行かなアカンねやったわ」
「そうなんですか?次、アランが楽しにみしていた特別講師の授業なのに」
「うわー、めっちゃ残念や!なんかなぁ、魔力の状態をもう一回見させて欲しいとか言われてなぁ……って、同級生やねんから敬語は無しでって言ってるのに!いつになったらため口使ってくれるんや」
「でも……」
「なんか敬語使われると、分厚い壁があるみたいで悲しくなるやん」
悲し気な瞳に罪悪感に見舞われてしまう。
「……分かった。敬語は止める」
そう言うと、今度は歯を出して子供みたいに笑った。
「やった」
チャラいし、女慣れも凄いし、距離感だってヤバイし……なのに凄いイケメンで、甘え上手な年上。
やっぱこの人、なんとなく苦手だな。
「ん?なんやこの肩と頭にあるやつ」
突然、アランは何かに気付いたように、私の肩と頭を交互に指さしてきた。
「え?何か付いてる?」
と言いながら指を差された肩を見てみたけど、何も付いているようには見えない。
「もしかして頭痛いんですか?なんか顔色良くないですし、私でよかったら一緒に保健室に……」
「大丈夫だよ。そういうのじゃないんだ」
「そうなんですか……。じゃあ、どうしたんですか?」
こんなローレン、友人として凄く心配になる。
「シエルちゃん……」
そして何かを訴えるような目が向く。本当に顔色が悪い。
「やっぱり保健室行きしょう。一回診てもら……」
「違うんだ!そうじゃない!」
強く言われた事に驚き固まってしまうと、独り言のようにローレン呟く。
「……あいつ、僕のシエ……」
直後、突然我に返ったような目をしてバッと口を塞ぐローレンに、頭の上にハテナマークを浮かべる。
「えっ……?」
今、僕のシエルちゃんって言いかけた?
いや、そんな訳ないか。酷い聞き間違いだ。
「……ご、ごめん!もう行くよ」
座ったばかりの席から慌てて立ち上がるローレンを驚き見上げる。
ローレンは行くと言ったのに、なぜか私の後ろに回った。
「でも、これだけはさせて」
「え?これって?」
私の質問の返事が来る前に、ローレンは私の肩にすっと手かざして来た。
すると、その手からポウっと白い光が見えて頭の上にハテナマークが増えていく。
「ローレン、何してるんですか?」
動いていいのか分からなくてジッとしていると、目の端で光が消えたのが分かった。
「…………祈願?的なもの、かな」
すると今度は頭上でふわりと優しい光が舞っているのが自分の前髪の隙間から見えた。
「祈願?」
意味も分からずにされるがままの私は、「よく分からないんですけど、体調悪そうですし、魔法は使わないほうがいいですよ」と言った。
するとローレンは、「僕は大丈夫だよ。それに、こうしないと余計に悪くなりそうだから……」と謎めいた言葉を落としてきた。
ローレンが立ち去った後、すぐにメイに言われる。
「やっぱあんた、すっごくサオトメ様に愛されてるわねー。羨ましいわ」
「またメイはそんな事言う!本当に止めてよ!そんな訳ないって言ってるじゃん!」
と口を尖らせると、隣のルイーゼが「鈍感って罪ですね」と独り言のように呟いて食後のオレンジジュースを飲み干した。
…………
……
「次、移動教室やっけ?」
振り返り聞いてくるのは前の席のアラン。
今日もゴツいアクセサリーのオンパレードだ。
これが私物じゃなく、学園内のお店で売られているというから驚きだ。
「そうですよ」
「あっ。でも俺、このあと管理事務局行かなアカンねやったわ」
「そうなんですか?次、アランが楽しにみしていた特別講師の授業なのに」
「うわー、めっちゃ残念や!なんかなぁ、魔力の状態をもう一回見させて欲しいとか言われてなぁ……って、同級生やねんから敬語は無しでって言ってるのに!いつになったらため口使ってくれるんや」
「でも……」
「なんか敬語使われると、分厚い壁があるみたいで悲しくなるやん」
悲し気な瞳に罪悪感に見舞われてしまう。
「……分かった。敬語は止める」
そう言うと、今度は歯を出して子供みたいに笑った。
「やった」
チャラいし、女慣れも凄いし、距離感だってヤバイし……なのに凄いイケメンで、甘え上手な年上。
やっぱこの人、なんとなく苦手だな。
「ん?なんやこの肩と頭にあるやつ」
突然、アランは何かに気付いたように、私の肩と頭を交互に指さしてきた。
「え?何か付いてる?」
と言いながら指を差された肩を見てみたけど、何も付いているようには見えない。
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています
オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。
◇◇◇◇◇◇◇
「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。
14回恋愛大賞奨励賞受賞しました!
これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。
ありがとうございました!
ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。
この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる