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人質に取られたラブ
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しおりを挟むそう言われて完全に弄ばれていると確信する。
「何をって……」
こんな奴、まともに相手した方が負けだ。
あー!もう!
ラブが人質になっていなければ!!
ペンを持っていない方の手で、煽ぐようにして膝にあった奴の手をペシペシと叩いて払いのける。
触られている感覚が無くなって、やっとホッとした時、小さな舌打ちが飛び込んで来た。
すると突然、奴の手を叩いたが自分の意志と関係なく勝手に机に上に乗りあげて来て、目を見開いた。
目の前にあるのは自分の手のはずなのに、動かそうとしてもピクりとも動かせない。
「……っ!?」
驚いていると、再び膝を撫でまわすような感覚が走って足がピクっと震えた。
その感覚は驚くことに内ももに滑り、今度は全身が跳ねててしまった。
「ちょ、ちょっと……」
何してるの!?
恥ずかしさと、バレるのではないかという緊張感でどうにかなってしまいそうだ。
そんな私に、ディオンは馬鹿にするように言った。
「魚みてぇ」と。
ククっと笑われて、心の中で『誰が魚よ!』と怒鳴る。
怒りが巻いているはずなのに、ディオンの手に合わせて何度も震えてしまうのが悔しくてたまらない。
「本当に……止めて……よ。バレる、から」
もう無理!私で遊ばないで。
そう思った時――
「もう行こう!一つ上の階かもしれない」
「そうなの?」
「お邪魔しました~」
と、女生徒たちが扉を閉めてバタバタと走り去って行った。
その瞬間を待ちに待っていた私は、椅子が倒れるくらいの勢いで立ち上がる。
ついでに手にも力が入るようになっていた。
「なんなのよ!こんな変な事して!」
「お前、俺の事バラす気だっただろ」
見透かすような目で言われた言葉にドキリとする。
もしかして、それだけであんな事をしたの!?やり過ぎでしょ!
と文句を言いたいところだけど、ここは話を逸らすのが得策だろう。
バラそうとしていた事が確定してしまうと、さらに面倒な事になりそうだから。
「も……もういい!早くラブを返して!」
キッと睨んで手を出すと、「真っ赤」と言われる。
ディオンはスッと立ち上がり、夕陽の影を私に落とした。
「……あんたのせいでしょ!」
「は?俺のせいか?」
不思議そうに、ズイっと切れ長の綺麗な目を近付けてくるから、更に赤くなりそうで焦りを感る。
「な、何……よ!?」
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