【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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人質に取られたラブ

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顔を向けると、胸にSクラスのオーロラバッチが光る、モデルのような綺麗な女性達が4人顔を出していた。

「すみませーん、ここにカミヅキ講師が来ませんでしたか?」

彼女たちの言葉を聞いた瞬間、私は状況を理解した。


ふーん。ああ、そういう事ね。
きっとディオンは、彼女たちにも嫌がる事をしたんだわ。
だから追われてる。そうに違いない。

そんな事ばっかするあんたなんて、絶対かくまわないんだから!


「カミヅキ講師なら、こ……」
ここにいますよ!と言おうとしていた私の口は、チラッと奴を見下ろした瞬間に固まった。

なぜなら、奴の手の中にはラブがいたからだ。
しかもラブは、今にも泣きだしそうに怯え震えている。


ラブ!!
え!?なんでラブが!!
今さっきまで机の上にいたのに!!


まさか……人質に取ったのね!?サイテー!!

湧き上がる怒りを面に出さないようにして、女生徒のいるドアの方向き直す。
そして慌てて予定を変更した。

「見てません…………んっ!?」
その瞬間、くすぐったい感覚がして一瞬で肩が跳ね上がった。

「そう……見てないのね」
「ありがとう。自習中だったのにごめんね」
そう言ってSクラス女子達はドア付近で輪になって相談を始めた。

そんな中、足首を触れられるような感覚が走る。
その感覚はすぐに上へ上へと移動して、ひざに到達する。

かすかにぬくもりを感じて、これがディオンの手か何かだと思った時にはひざにすっと円が描かれる。

「んっ……」
くすぐったくて変な声が出てしまい、女生徒のうちの1人が不思議そうな顔を向けて来るから焦りが湧く。


出来るだけ気付かれないように、私は何事も無かったかのように口元に手を当ててせき払いをして誤魔化す。


「でもおかしいわね。この辺りから講師の魔力を感じたのに……今だって」
1人から、ずっと疑いの目を私に向けて来ていて、その事に心臓が早くなる。

ひー!!
絶対、怪しまれてるっ!!

捕まる前の犯人の気持ちってこんな感じなんだろうか?
めちゃくちゃ心臓に悪い!
でも、何も悪い事してない私が、どうしてこいつをかばってドキドキしないといけないのよ!


「やめてよ」
小声で言と、逆にクッという笑い声が返って来てイラっとする。
「何を?」
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