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Fクラス特別講師
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しおりを挟む学食――
今日も、お昼の学食はとても賑わっている。
私のパスタが入ったお皿の横でドングリを頬張るラブを見ていると、向かい側に座るメイがぽつりと呟いた。
「やっぱり、羨ましいな」
「ん?何が?まさかドングリが食べたいの?」
まだあるよ。とポケットに手を突っ込もうとすると「そんなわけないでしょ!」と怒り出すメイ。
「えっ、じゃあ何?」
と首を傾げると、
「超絶美形の特別講師、カミヅキ・ディオン様の授業を受けれるなんて、羨ましいって言ってるのよ!それ以外何があるのよ!」と大きな声で言った。
「え!?まだそれを言うの?」
「だって、だって……羨ましいものは羨ましいんだもん!」
机を何度も叩いて悔しそうな顔をするメイに、ため息が出る。
「私からしたらメイが羨ましいわよ。あんな奴の顔を拝まなくていいんだし……」
「くぅ~!!シエルと変わりたい!!
確かに愛想は無いしクール過ぎるけど、あの見た目だよ?クール&ビューティだよ!?見てるだけで完全に目の保養じゃん!可能なら一生顔を拝ませてほしい位だよ!」
「目の保養……クール&ビューティ……」
なんとも言えない言い方に、体温が5度程下がった気がした。
サイコパスな部分を知らなかったら私もそう思えたのかなぁ?
でも、もう知っちゃってるから今となってはよく分からない。
「愛想とかいう問題じゃないわよ。あの講師は人として終わってるのよ」
首絞めたり、突き落としたり……あんなのただの殺人鬼だよ。
でも、なぜかラブの時に助けてくれた。
奴が助けてくれなかったら、私は今頃ここに居ないのかもしれない。
あの時、助けた事に恩を売ってないと言っていたけど、絶対そんな訳ないと思う。
私は、いつあの時の恩を返せと言われるんだろうか。その時の事を考えると、今からでも恐怖しかない。
「そんな毛嫌いする程に最悪な授業だったの?Sクラスでは凄く良いって聞いたんだけど」
「そういうのじゃないんけど……」
認めたくはないけど、奴の授業は凄く良かった。
他の講師と同じような授業内容なのに、何が駄目なのか、どうして上手く行かないのかの指摘も今までの講師に比べて格段に的確で、凄く分かりやすかった。
何が得意で何が苦手なのかを全員分言い当て、今後何を勉強していけばいいのかまで伝えていた。
今まで受けて来た授業よりも断然、短時間で一気に成長したんじゃないかと思うくらいの素晴らしい授業だった。
たった1回の授業でそう感じたんだから、奴は意外と……本当に凄いのかもしれない。
「じゃあ何?授業以外でなんかあった?」
嘘が下手な私は、ドキっと心臓が跳ねる。
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