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Fクラス特別講師
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奴の顔を見るのは心底嫌だったけど、SクラスやAクラスにしか実施してない特別授業ってどんな凄いものかと興味はあった。
きっと、驚く程に派手でゴージャスな授業風景に違いない、と凄い想像をしていた私は、完全に肩透かしを食らわされた。
「あれ?これ……特別授業で合ってるよね?」
隣で魔法で絵を描くクラスメイトに小声で話しかける。
「うん。合ってるよ」
「どこが特別なの?魔法でスケッチなんて実技の定番中の定番の授業じゃん。いつもと何も変わらないと思うのは私だけ!?」
これでコントロール力を育むんでしょ?
「私もだよ。もっとすごい感じだと思ってたけど、絵の見本が本物みたいに凄いだけで、やる事はいつもと一緒だよねー」
やっぱり、クラスメイトも思ってる事は同じのようだ。
魔力の覚醒をしてから調子がいい私は、みんなよりも早く描き上げてしまい、暇を持て余していた。
それにしても、我ながらに上手く描けている。
前は、魔法で紙に何かを描くのすら難しかったのに。
顎に手を当て、満足気に頷くと、膝上にいるラブに影が差し込んだ。
見上げると、腰に手を当てて私を見下ろす特別講師が映った。
「もう描けたのか?」
「うわっ!」
ビックリして一瞬椅子ごとひっくり返りそうになった私は、危機一髪で落ちかけたラブを抱きしめた。
「何だ?その生き物は」
「えっ?……私が召喚した熊だけど、ってそんなのあんたも知って……」
「熊野郎の話をしてんじゃねぇよ」
講師なのに、相変わらず言葉遣い悪いな。
魔力だけじゃなくて、話し方も採用試験に組み込んでほしい所だ。
って……そうだ!
一応こんなのでも講師なんだよね。
ってことは一応敬語を使うべき、……だよね?心底嫌だけどタメ口なんてよくないんだよね。
「じゃあ、なんの話……ですか?」
敬語を使ってみてから思った。
やっぱり、こいつに敬語を使うなんて自分にとって耐えられないって。
ラブの時に助けてくれたけど、2度も殺そうとしてきた事には変わりない。
しかも意味不明な恩まで売りつけて……
『敬』う言葉で敬語でしょ!?
口も悪いこのサイコパス講師は、魔力だけは凄いらしいけど、それ以外はどこも敬う所がない。
「敬語キモ」
ドン引きの目で二の腕を擦るこいつを見て、敬語なんて使わなくていい相手だと心の中で認定ハンコを押した。
「煩い!私だってあんたなんかに敬語使いたくないけど、でも講師だから使ったのよ!」
「あんたあんた煩せぇな」
私に鋭い目が向く。
「名前忘れたのかよ。お前のここは空っぽか?」
そう言ってデコピンしてくる。
「痛っ……!」
痛む額を押さえて、講師と呼ぶに等しくない奴を睨む。
「何すんのよ!」
「お前が脳のない馬鹿だからだろ」
「馬っ……、名前くらい覚えてるわよ!」
「じゃあ、呼べ」
「……え」
なんか嫌だ。こんな奴の名前を呼ぶなんて。
「よ、呼ばない」
「なんだよ。やっぱ覚えてねぇんだ?馬鹿確定だな」
「覚えてるって言ってるじゃん」
「じゃあ言えよ」
「うっ……」
きっと、驚く程に派手でゴージャスな授業風景に違いない、と凄い想像をしていた私は、完全に肩透かしを食らわされた。
「あれ?これ……特別授業で合ってるよね?」
隣で魔法で絵を描くクラスメイトに小声で話しかける。
「うん。合ってるよ」
「どこが特別なの?魔法でスケッチなんて実技の定番中の定番の授業じゃん。いつもと何も変わらないと思うのは私だけ!?」
これでコントロール力を育むんでしょ?
「私もだよ。もっとすごい感じだと思ってたけど、絵の見本が本物みたいに凄いだけで、やる事はいつもと一緒だよねー」
やっぱり、クラスメイトも思ってる事は同じのようだ。
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それにしても、我ながらに上手く描けている。
前は、魔法で紙に何かを描くのすら難しかったのに。
顎に手を当て、満足気に頷くと、膝上にいるラブに影が差し込んだ。
見上げると、腰に手を当てて私を見下ろす特別講師が映った。
「もう描けたのか?」
「うわっ!」
ビックリして一瞬椅子ごとひっくり返りそうになった私は、危機一髪で落ちかけたラブを抱きしめた。
「何だ?その生き物は」
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講師なのに、相変わらず言葉遣い悪いな。
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って……そうだ!
一応こんなのでも講師なんだよね。
ってことは一応敬語を使うべき、……だよね?心底嫌だけどタメ口なんてよくないんだよね。
「じゃあ、なんの話……ですか?」
敬語を使ってみてから思った。
やっぱり、こいつに敬語を使うなんて自分にとって耐えられないって。
ラブの時に助けてくれたけど、2度も殺そうとしてきた事には変わりない。
しかも意味不明な恩まで売りつけて……
『敬』う言葉で敬語でしょ!?
口も悪いこのサイコパス講師は、魔力だけは凄いらしいけど、それ以外はどこも敬う所がない。
「敬語キモ」
ドン引きの目で二の腕を擦るこいつを見て、敬語なんて使わなくていい相手だと心の中で認定ハンコを押した。
「煩い!私だってあんたなんかに敬語使いたくないけど、でも講師だから使ったのよ!」
「あんたあんた煩せぇな」
私に鋭い目が向く。
「名前忘れたのかよ。お前のここは空っぽか?」
そう言ってデコピンしてくる。
「痛っ……!」
痛む額を押さえて、講師と呼ぶに等しくない奴を睨む。
「何すんのよ!」
「お前が脳のない馬鹿だからだろ」
「馬っ……、名前くらい覚えてるわよ!」
「じゃあ、呼べ」
「……え」
なんか嫌だ。こんな奴の名前を呼ぶなんて。
「よ、呼ばない」
「なんだよ。やっぱ覚えてねぇんだ?馬鹿確定だな」
「覚えてるって言ってるじゃん」
「じゃあ言えよ」
「うっ……」
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