【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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Fクラス特別講師

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あぁ……誰か、これが酷い夢だと言って。

いや。この日が来るっていうのは、ラブを召喚した日から知ってはいたけど……やっぱり夢であってほしかった。


「これから、このFクラスで週1回の特別授業の講師をする事になった、カミヅキ・ディオン様です」

教卓でいつもよりワントーン高い声で奴を紹介するFクラス講師の隣には、あの男が笑顔一つも見せずに立っている。


「よろしく」
ヤバイ。
頭のどこかで、あんな奴が講師だなんて絶対何かの間違いだ!って思っていたけど、ああやって普通に教卓に立っている姿を見た今、もう認めるしかないんだと思ってしまう。


「カミヅキ様は凄い魔力の持ち主で、私達、常勤講師では使えないような魔法もたくさん使えたりします。また、知識も経験も豊富なので知りたい事があればじゃんじゃん聞いて、自分のステップアップにしてください」

はーい、と返事するクラスメイトを見た机の上のラブは、真似をして手を上げている。

「さっそくですが、カミヅキ様に何か質問したい人はいますか?」
講師は、ひじを自分の胸に当てながら赤ふちメガネをクイっと指で持ち上げて、大きな胸を揺らした。

今日の講師の化粧は明らかに濃い。
服装は、谷間までバッチリ見えてしまう位に大きく胸元の開いたシャツに、体のラインがハッキリ分かるタイトなミニスカート。

講師なのにその恰好かっこうってどうなの!?小さい子もいるのに!
と文句を言いたくなる半面……
その凄く大きな胸が羨ましくないわけではない。


爆乳っていうのはこういう事を言うんだろう。
カップにすると、GとかHカップくらいありそうだ。私のCカップとは全然違う。

私の事を『貧乳で貧相な体』と言ったあいつも、あれくらいあれば……
……って……、何考えてんの!?私は!!

なんか気にしてるみたいじゃん!
あんな奴になんて、どう思われてもいいのに!


「カミヅキ講師は、彼女っていますかぁ?」
「いない」

「身長ってどれくらいあるんですか?」
「185cmだ」
高っ、と声が飛び交う中、奴の「くだらねぇ質問ばっかだな」という吐き捨てるように言った台詞セリフが聞こえて、一瞬でクラスメイトの顔が固まった。


いやいや……くだらないって……。
そういうもんでしょうが。

ってか今思うと、この男は一応講師なのに私を屋根から突き落とそうとしたり首絞めて来たんだよね。
夜の女子寮の部屋に勝手に侵入もして来たし……

初めて会った時からずっとヤバい奴と思ってはいたけど……『講師』と知ると、そのヤバさが一気に増した気がする。
いっそのこと、バラしてこの学園から追放するっていうのはどうだろう?

追放される姿を想像すると、口の端が上がりそうになる。
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