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休日
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しおりを挟む「本当に気がおかしくなりそうだった。淋しくて……会いたくて……毎日泣いていた。
その末、皆が知ってる通り、決死の覚悟でここから抜け出したんだ。でも門に感知器があったみたいで、出てすぐの道端ですぐに引き戻されたんだけどね」
そう話すローレンに、どんな顔をしていいのか分からない。
ここの生徒は誰しも、幼過ぎる年で無理やり親から引き剥がされている。
親の顔も覚えてない子だって沢山《たくさん》いる。
でも、逆に親の愛情や記憶がある年齢で連れて来られた子たちの方が辛いのかもしれない。
国が国民を守るという事を軸にした学園の厳重な規則。
それは分かるし、ある程度は理解も出来ている。
でもよく考えてしまう。
本当にこうするしかないのかな……って。
「僕みたいに悲しむ子供は、毎月のように強制的にここに連れて来られている。僕は、そんな子供たちを精神的に支えてあげる存在になりたいと思っている」
「支え……?」
「そう。ここにはそういう心のケアをしてくれる大人はいないから。だから僕がなろうと思うんだ」
ああ。
なんて……なんて優しい人なんだろう。
そんな事、思いつきもしなかった。
ローレンの言う仕事って、前世で言うスクールカウンセラーみたいな事だよね。
ただ、『納得がいかない!』って不満ばっか言うだけの私とは大違いだ。本当に恥ずかしくなる。
「凄くいいと思います!ローレンらしいというか……」
「僕らしい?」
「はい。とても素敵です」
心優しく、本当に素敵な人。
メイも周りの人達も、私とローレンに何かないのか疑ってるけど、そんなの考える事さえおこがましく感じる程の人。
やっぱり私はローレンをとても尊敬している。
そう思うと自然と笑みがこぼれた。
「私、そんな所が好きです」
「えっ」
突然、ローレンの顔がボッと赤くなった事に気付く。
そして思った。
誤解される言い方をした、と。
「あ!ち、違います!その……、そういう意味じゃなくて……。尊敬していると言う意味で!!」
慌てて弁解すると逆に変に思われそうなのに、これ以外の行動が思いつかなくて、俯《うつむ》いた私は変な汗が出てきた。
「すみません。変な言葉を使ってしまって……気持ち悪いですよね」
恥ずかしさで死ねる!
時間を戻せるなら戻したい!と心の中で叫んで両ひざの上で拳を作る。
「……ありがとう。嬉しいよ」
と言われて、そっとローレンを上目遣いで見上げる。
口元に手を当てて顔を隠そうとするローレンの姿が目に映った。
普段とは違うその姿に、私は一瞬ドキっとした。
隠しきれない頬は真っ赤に染まり、それは耳の先まで続いていた。
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