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休日
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しおりを挟むローレンの実家は名家だもんね。
きっと、学園の個人口座にも沢山送金して貰っているんだろう。
学園に入りたての頃、場違いなのに間違って一度だけ足を踏み入れてしまった、あの高級なお店で普段お買い物をしているんだろうな。
それにしても、今日こんないいレストランに来ると知っていたら、前に口座のお金を全部はたいて買った、あの白いワンピースを着てきたのに……。
普段から釣り合っていないけど、今は普段以上に不釣り合いだ。
『気合が入ってると思われたら嫌だから普通の恰好にしよう』と思ってこの服を選んだ数時間前の自分を叱りたい。
風がそよいで木々がざわめくと、ローレンの優しく緩む視線が絡む。
目が合うと微笑まれて、意味もなく一瞬ドキっとする。
「お待たせしました」
私たちの間を、茶葉がふわりと舞うガラスポットと白いティーカップが遮った。
すぐに風に乗って茶葉の芳醇な香りが漂《ただよ》ってくる。
「もう蒸らし時間は終わっておりますので、すぐお飲みになれます」
「ありがとう」
慣れたようにローレンが店員にそう言うと、私の前にあるポットに手を伸ばした。
「えっ」
「入れてあげる」
「あ、りがとうございます」
いいのかな?と思っている間に、私の目の前にあるティーカップは薄茶色の紅茶で満たされていく。
紅茶を入れるローレンの姿はとても絵になっていて、思わず見とれそうだ。
注ぎ終えたローレンはゆっくりと瞼《まぶた》を持ち上げ、色素の薄い大きな瞳と目が私を見た。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
カップを手に取り、紅茶を一口含む。次の瞬間、驚きが走った。
まろやかな味わいが舌の上で広がり、今まで体験したことのない深い香りに、心まで温まるような美味しさが広がっていく。
口元に手を当て、あまりのおいしさに驚いていると、ローレンはニッコリと微笑んだ。
「休日にシエルちゃんとこんな風に過ごせるなんて、夢みたいだ」
「えっ?そんなおおげさですよ」
「本当はずっと前からこうしたいって思っていたんだ。でも、なかなか勇気が出なくて……」
そう言うとローレンの眉が静かに下がった。
「え?なんで!?私、断りそうな態度していますか?」
自分の行動を思い返してみるけど、ローレンにはずっと好意があるし、思い当たる節が無くて首を傾げた。
すると、ふっと笑い声が聞こえる。
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