【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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魔力の覚醒

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芽が出た事に驚いて手をかざしたまま固まっていると、その芽は双葉になり、さらには四葉になる。

「えっ、えっ!?」

そしてさらに空に向かってどんどん茎が伸びて行き、次々に前後左右に枝分かれしていく。
すると個々の葉の先から小さな丸いつぼみが出来る。
その時、背後から「シエルお姉ちゃんがつぼみまで出してるよ!凄い!みんな見てみて!!」と大きな声が聞こえた。

その時――
ポンッとコントラストの綺麗なピンクの花が咲いた。
直後、何個も出来ていたつぼみ一斉いっせいに全て可愛い花となって目を見開いた。


「ええええぇぇ~~~~!!」
今まで芽を出す事さえ出来なかった私が花まで咲かせてしまったことに、驚きで尻もちをついてしまう。

「シ……シエルお姉ちゃん凄い!どうしたの!?今までと全然違う!」
「うわぁ……花まで咲かせたのなんて初めて見た」


私と同じく口をあんぐりさせていた講師が、小鼻まで眼鏡をズリ落としたまま聞いてくる。
「……タ……タチバナさん!?その魔力、一体どうしたんですか!?」


「ど、どうしたんでしょうか……?」
と言うと、講師はハッとした顔をして言った。
「まさか……これって、魔力の覚醒……!?」

「えっ!?魔力の覚醒……?わ、私が!?」
自分の顔を指さして目を向く。


魔力感知できるのは3歳から5歳の間が一般的で、確率としては99.9%くらいと言われている。
残りの0.1%のは3歳未満。


そしてその0.1%より更に少ない確率で起こると言われているのが――
『魔力の覚醒』だ。激レア中の激レア。

魔力の覚醒とは、5歳以降に急に魔力が現れたり、感知できるギリギリの魔力だった生徒が突然とつぜんあり得ない位の魔力量になる症状を言う。

魔力の覚醒者や3歳未満で魔力が現れた人間は、漏れなく世界でもトップクラスの魔力を持ち、大魔法使いになれる可能性を秘めていると言われている。


でも、それが私だなんて……
そんな訳ないに決まってる。



その後、急遽きゅうきょ小テストを中断し、目が血走ったFクラス講師に連れられて久しぶりに管理事務所に入った。



そこで魔力量検査を受けさせられた結果――

たぶん魔力覚醒だろうと診断された。
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