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召喚

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あいつは否定したけど、やっぱどっかの国のスパイなんじゃねぇか?信用ならねぇ奴だ。


それによく観察すると、かすかにだが、こいつ以外の魔力がこいつの中から感じる。
まるで複数の魔力が融合して混ざり合っているようだ。

俺は……そういう存在をよく知っている。

でも、アレと似てはいるが、流石さすがに違うだろう。
学園内にあんなもの、あるわけが無いのだから。


関われば関わる程に謎が増えていく。
なのに、暴けない状況が腹立たしい。

あの時、こいつが泣いたせいだ。
って、こいつが泣いたからってなんなんだ!
泣きたきゃいくらでも泣かせておけばいいだろ?

それくらい、痛くもかゆくもねぇはず……なのに……、なぜか俺の中の俺がそんな行動を全力で拒否してしまう。


「早く返してよ!そんな持ち方してたらかわいそうだよ!」
いつの間にか足もとに居たシエルは、熊に手を伸ばす。
俺は熊を取られないように手を上げた。

「おい、シエル」
「な、何よ。呼び捨てなんて止めてよね」
「は?俺にそんな態度取っていいのか?そんな態度ならこの熊は返さねぇ」
「え!やだっ」


「なら、次から俺への態度に気を付けろ」
そう言って熊をポイっと投げると「危ない!」と言いながらキャッチするシエル。

「投げないでよ!怪我でもしたらどうすんのよ!」
「おい、態度!」
と言うと、悔しそうにシエルの下唇を上げた。

俺は首を傾げ、目を細めて言う。
「さっきまでその熊に殺されかけてたくせに」
「そ、うだけど……今は可愛いし……?」
シエルは口をとがらせて口ごもる。

んだよ。
逐一ちくいち俺の中の何かがうるさいな。

長年、誰も足を踏み入れる事もなかった水面に、容赦なく落とされる水滴のように。
波紋が広がりきる前に、また落とされ、新たな波紋を作ってくる。


関わらなければいいのに、関わりたくなるのは……なんなのか。

もういい。
こうなったら、とことん俺の中の俺に付き合ってやる。そして謎も暴いてやる。


「カミヅキ様!!」
今さら到着した教頭は、息を切らしている。

「教頭、ちょうどいい所に来た。下のクラスのレベルを上げろというお達しだったよな」
「はい、それが何か……」

「このクラスなら見てやっていい」
一瞬ぽかんとした顔をした教頭が慌てた様子で聞いてくる。
「えっ!?Fクラス……ですか?」


「ああ、そうだ。契約書でもなんでも書いてやる」
「ほ、本当でございますか!?あ、ありがとうございます!」

ペコペコとお辞儀をする教頭に、シエルが眉を寄せて聞いてくる。
「どういう、事?」
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