70 / 395
殺人鬼と呼ばれる子
9
しおりを挟む
「正直、ワシはかなりの年だ。もういつ死ぬかも分からない。
でも、君はまだ7歳なのに身寄りが居ないし、ここを出ても行く当てもない。
だから、こう見えて君の事を一番懸念しているんじゃよ。
一緒に住む話は君が望むのならの話だ。強制もしない」
人と一緒に住むなんて、全く想像できなくて自分がどうしたいのかも全く分からない。
でも……
『家族みたいに』
その言葉が、心の奥底にじんわりと熱を持たせた。
家族。
周りは皆、当たり前みたいに家族がいる。
しょっちゅう手紙でやりとりをし、もれなく皆、卒業したら家族と暮らす事が決まっている。
卒業するのを今か今かと待ち望まれ、愛されている。
その事が、本当は…………
気が狂いそうな程に妬ましい。
皆とは全く同じではないけど、今、僕が頷けば、家族のような相手が出来る。
その事は凄く嬉しいけど、あまりの事に戸惑ってしまう。
「まぁ、どうするのかは君の人生だ。君がしたいようにすればいい。そんな選択肢もあるって思ってもらえたらそれで十分だ」
返事をしないから、断ったと思われたんだろうか。
かといって、すぐに決めれるような内容じゃないけど。
でも僕は……学園長と一緒に、住みたい……のかな?
家族が欲しいから……?それってどうなんだろう。
手元のコップから視線を上げると学園長と目が合う。
その目は驚くほど優しい。
「君は間もなく卒業だから、こうやってちゃんと話すのは最後になるかもしれん。だから老いぼれの話を1つ聞いてくれないか」
さっきはあんな言葉をくれたのに、簡単に出てきた『最後』という言葉に静かに心が乱される。
そんな僕の心の内を知らない学園長は、勝手に話し出す。
「カミヅキくんは、皆が羨む程の魔力を持って生まれてきた。
でも、物心つくより前から君を苦しめて来たのは、その膨大過ぎる魔力のせいなのは否定できない。
そのせいで今まで魔力を恨んだだろうし、今後も恨み憎しむかもしれない。
でも、覚えていてほしい。魔力は『悪』ではない。
魔力は君の力であり、君の『味方』だ。それを忘れないでくれ」
「魔力が……味方?」
そんな訳、あるわけないのに
でも、君はまだ7歳なのに身寄りが居ないし、ここを出ても行く当てもない。
だから、こう見えて君の事を一番懸念しているんじゃよ。
一緒に住む話は君が望むのならの話だ。強制もしない」
人と一緒に住むなんて、全く想像できなくて自分がどうしたいのかも全く分からない。
でも……
『家族みたいに』
その言葉が、心の奥底にじんわりと熱を持たせた。
家族。
周りは皆、当たり前みたいに家族がいる。
しょっちゅう手紙でやりとりをし、もれなく皆、卒業したら家族と暮らす事が決まっている。
卒業するのを今か今かと待ち望まれ、愛されている。
その事が、本当は…………
気が狂いそうな程に妬ましい。
皆とは全く同じではないけど、今、僕が頷けば、家族のような相手が出来る。
その事は凄く嬉しいけど、あまりの事に戸惑ってしまう。
「まぁ、どうするのかは君の人生だ。君がしたいようにすればいい。そんな選択肢もあるって思ってもらえたらそれで十分だ」
返事をしないから、断ったと思われたんだろうか。
かといって、すぐに決めれるような内容じゃないけど。
でも僕は……学園長と一緒に、住みたい……のかな?
家族が欲しいから……?それってどうなんだろう。
手元のコップから視線を上げると学園長と目が合う。
その目は驚くほど優しい。
「君は間もなく卒業だから、こうやってちゃんと話すのは最後になるかもしれん。だから老いぼれの話を1つ聞いてくれないか」
さっきはあんな言葉をくれたのに、簡単に出てきた『最後』という言葉に静かに心が乱される。
そんな僕の心の内を知らない学園長は、勝手に話し出す。
「カミヅキくんは、皆が羨む程の魔力を持って生まれてきた。
でも、物心つくより前から君を苦しめて来たのは、その膨大過ぎる魔力のせいなのは否定できない。
そのせいで今まで魔力を恨んだだろうし、今後も恨み憎しむかもしれない。
でも、覚えていてほしい。魔力は『悪』ではない。
魔力は君の力であり、君の『味方』だ。それを忘れないでくれ」
「魔力が……味方?」
そんな訳、あるわけないのに
1
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています
オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。
◇◇◇◇◇◇◇
「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。
14回恋愛大賞奨励賞受賞しました!
これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。
ありがとうございました!
ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。
この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる