【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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殺人鬼と呼ばれる子

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「正直、ワシはかなりの年だ。もういつ死ぬかも分からない。
でも、君はまだ7歳なのに身寄りが居ないし、ここを出ても行く当てもない。
だから、こう見えて君の事を一番懸念けねんしているんじゃよ。
一緒に住む話は君が望むのならの話だ。強制もしない」
人と一緒に住むなんて、全く想像できなくて自分がどうしたいのかも全く分からない。

でも……
『家族みたいに』

その言葉が、心の奥底にじんわりと熱を持たせた。

家族。

周りは皆、当たり前みたいに家族がいる。

しょっちゅう手紙でやりとりをし、もれなく皆、卒業したら家族と暮らす事が決まっている。
卒業するのを今か今かと待ち望まれ、愛されている。


その事が、本当は…………
気が狂いそうな程にねたましい。


皆とは全く同じではないけど、今、僕がうなづけば、家族のような相手が出来る。
その事は凄く嬉しいけど、あまりの事に戸惑とまどってしまう。


「まぁ、どうするのかは君の人生だ。君がしたいようにすればいい。そんな選択肢もあるって思ってもらえたらそれで十分だ」

返事をしないから、断ったと思われたんだろうか。
かといって、すぐに決めれるような内容じゃないけど。

でも僕は……学園長と一緒に、住みたい……のかな?

家族が欲しいから……?それってどうなんだろう。

手元のコップから視線を上げると学園長と目が合う。
その目は驚くほど優しい。


「君は間もなく卒業だから、こうやってちゃんと話すのは最後になるかもしれん。だから老いぼれの話を1つ聞いてくれないか」

さっきはあんな言葉をくれたのに、簡単に出てきた『最後』という言葉に静かに心が乱される。

そんな僕の心の内を知らない学園長は、勝手に話し出す。

「カミヅキくんは、皆が羨む程の魔力を持って生まれてきた。
でも、物心つくより前から君を苦しめて来たのは、その膨大過ぎる魔力のせいなのは否定できない。
そのせいで今まで魔力を恨んだだろうし、今後も恨み憎しむかもしれない。
でも、覚えていてほしい。魔力は『悪』ではない。
魔力は君の力であり、君の『味方』だ。それを忘れないでくれ」

「魔力が……味方?」
そんな訳、あるわけないのに
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