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学園最弱の存在 Fクラス-16歳-
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「は?卒業?」
この反応、卒業したんじゃない?
卒業してたら今ここに居ないもんね。
2年もの間、私はずっとこいつに警戒しながら生活していた。
上級クラス棟や男子寮の近くを通る時なんかは特に。
変な奴だと思われるほどに周りを警戒していたけど、1度も見る事も会う事はなかった。
なのに、どうして今更ここにいるの?
ええい!もうなんだっていい!
とりあえず奴はまだ学園にいたんだ。
なら、私が取る行動は1つしか無い。
「……なんでもない」
こいつと、出来るだけ接点を持たないことだ!
触らぬ神に祟りなし!(いや、神じゃなくて悪魔の間違いだったわ)
そんな事を考えながら踵を返して奴に背を向けると、手が小刻みに震えている事に気付いた。
手と手を重ね合わせると指先に冷えも感じる。
奴が居たから……いや、女の人に手を上げられたからかも。
前世の記憶のせいで、未だに女の人に手を上げられるのは全然駄目みたいだ。
こんなメンタルで復讐なんて出来るのかな?相手は髪の長い女なのに。
そんな事に心の中で溜め息をついて足を一歩前に出すと、「どこ行くんだよ」声をかけられた。
呼び止められるなんて思っていなかった私は、背を向けたまま足を止めた。
一瞬、無視してこの場から消えてやろうかと考えたけど、相手は瞬間移動の出来るサイコパス的思考の人間だ。
追いかけられて逃げ切るなんて不可能だろう。
でも、関わるのだけは極力避けたい!
仕方なく、顔だけ振り返る。
「どこって……次の教室よ。さっきチャイム鳴ってたし」
「お前、その前に言うことあるだろ」
その言葉に、何を言っているのかと頭を巡らせてみる。
でも、何も思いつかずに首を傾げる。
「えっ、ない……けど?」
どうでもいいから早く行かせて。
チャイムが鳴ったせいで、この渡り廊下にいるのは私とこいつだけになっちゃったじゃない。
「も、もう行くから」
逃げ出したい気持ちで再び足を前に出すと、突然肩を掴まれた感覚が走った。
「……っ!?」
そして次の瞬間、強い風を感じたと思ったら……
「え、えぇぇーーーー!!!?」
私は校舎の屋根の斜面に立っていた。
この反応、卒業したんじゃない?
卒業してたら今ここに居ないもんね。
2年もの間、私はずっとこいつに警戒しながら生活していた。
上級クラス棟や男子寮の近くを通る時なんかは特に。
変な奴だと思われるほどに周りを警戒していたけど、1度も見る事も会う事はなかった。
なのに、どうして今更ここにいるの?
ええい!もうなんだっていい!
とりあえず奴はまだ学園にいたんだ。
なら、私が取る行動は1つしか無い。
「……なんでもない」
こいつと、出来るだけ接点を持たないことだ!
触らぬ神に祟りなし!(いや、神じゃなくて悪魔の間違いだったわ)
そんな事を考えながら踵を返して奴に背を向けると、手が小刻みに震えている事に気付いた。
手と手を重ね合わせると指先に冷えも感じる。
奴が居たから……いや、女の人に手を上げられたからかも。
前世の記憶のせいで、未だに女の人に手を上げられるのは全然駄目みたいだ。
こんなメンタルで復讐なんて出来るのかな?相手は髪の長い女なのに。
そんな事に心の中で溜め息をついて足を一歩前に出すと、「どこ行くんだよ」声をかけられた。
呼び止められるなんて思っていなかった私は、背を向けたまま足を止めた。
一瞬、無視してこの場から消えてやろうかと考えたけど、相手は瞬間移動の出来るサイコパス的思考の人間だ。
追いかけられて逃げ切るなんて不可能だろう。
でも、関わるのだけは極力避けたい!
仕方なく、顔だけ振り返る。
「どこって……次の教室よ。さっきチャイム鳴ってたし」
「お前、その前に言うことあるだろ」
その言葉に、何を言っているのかと頭を巡らせてみる。
でも、何も思いつかずに首を傾げる。
「えっ、ない……けど?」
どうでもいいから早く行かせて。
チャイムが鳴ったせいで、この渡り廊下にいるのは私とこいつだけになっちゃったじゃない。
「も、もう行くから」
逃げ出したい気持ちで再び足を前に出すと、突然肩を掴まれた感覚が走った。
「……っ!?」
そして次の瞬間、強い風を感じたと思ったら……
「え、えぇぇーーーー!!!?」
私は校舎の屋根の斜面に立っていた。
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