【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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学園最弱の存在 Fクラス-16歳-

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2人は私が向かって来ていた事に気付いていなかったようで、私が目の前で仁王立ちしている事に気付いた瞬間、驚いた顔を見せた。

「うわ!ビックリした!なんだよ!」
「こっちくんなよ!馬鹿が移る」
そういって手で払う仕草しぐさをされ、全く傷つかないと言えば嘘になる。でも、そんなのはどうでもいい。

「私、色恋にうつつなんて抜かしてないけど!?」
私の言葉を聞いた髪の長い方は、さっと腕を組んで目を細め、あごを上げた。
「はぁ?そんな事言うためにわざわざ来たわけ?」


「わざわざ聞こえよがしに話していたのは、あなた達でしょ!?」
「その歳で下級クラスのくせして、なーに私たちにタメ口きいてんの?謝りなさいよ!」
と短い髪の方が私の胸元のリボンを指でトンと小突く。でも引かない。

「どうして謝らないといけないの?この学園では下級生が上級生にタメ口をきいちゃ駄目だというルールは無かったはずだけど?」
どっちも年は私と同じか、年下でしょ。

「ハッ。さすが万年まんねんFクラスのお馬鹿さんね。あんたより出来る私たちをうやまうのは当然の事じゃないの?あんたはそんな事も分からない程にお馬鹿なの?」
胸元に手を添えて、いかにも自分が正しいみたいな顔を向けられ、イライラが増す。

「確かに私は魔力は少ない。それは認める。でも、それ以外はあなた達より一切おとってるように見えない!」

「は?出来損ないのクセして何言ってんの!?」
「そうだ!言い返してくんな!そしてさっさとサオトメ様の前から消えろ!サオトメ様も嫌がってんだろ!」

「別に、嫌がってないけど?ローレンは、いつも私に笑顔を向けてくれているわ」
私の言葉に、2人はイラついた顔をした。

「ウザッ」
「馬鹿馬鹿しくて話にならないわ!あんたサオトメ様と釣り合ってるとでも思ってんの?ちょっと顔がいいからって調子乗ってんじゃないわよ!」

「別に調子に乗ってないわ」
と言うと、胸元をドンと押され、一瞬グラついて後ずさる。

「それが調子に乗ってるって言ってんだよ!落ちこぼれのくせに!敬語使え!敬語!そして謝れ!」
もう一人も出て来て、私の肩をドンと押して来る。


「じゃあ……こんな事をしてくるあなた達の、どこを敬えばいいのか教えて?」
「は?」

「敬語は敬う人に使う言葉でしょ?
ローレンにずっと話しかける事も出来ずに、ずっと影でコソコソと私の陰口かげぐちを叩く人達の、どこを敬えばいいのか教えて?」
目の前の上級生二人はタコのように真っ赤になった。
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