【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか？

放課後の実験室

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「なーんだ。威勢いせい良かったのに、もう終わりかよ。クソつまんねぇな」
と言うと、私の頬ほほを手でペチペチと叩いてから立ち上がった。

「ま、これで懲こりたろ？今後は俺にはあんな態度を取らねぇことだな」
その言葉を最後に、悪魔のような男はその場から消えた。



…………

……

私はあの後、奴に出くわすのが怖くて居残り勉強を止めた。

そのせいで（と思いたい）進級試験に2連続て落ちて――私はFクラスのまま16歳になってしまった。


でも不幸中の幸い、あの最低最悪な奴はあの日からこの2年の間、一度も見ていない。

教室に入って来た時も去っていく時も、瞬間移動のように見えた。
きっと奴はSクラスの生徒で、あの後にあった試験で無事卒業したんだろうと思う。


だからもう奴に会う事はないし、警戒なんてしなくていいと下した私の判断は、後ほど短絡的だったと知る事になる。