【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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Fクラス-14歳-

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寮に向かう長い道で、サオトメさんと色々な話をした。
そんな中で彼に言われた「本が好きなんだね」という言葉に、目を丸くして言葉が出なくなった。


なぜ言葉が出なくなったかというと、本当は『本』が好きなんじゃなくて、復讐の為に調べ物をしているだけだからだ。

前世なんて漫画しか読んだ事がなかったし、今でも文字ばっかりの物は少し苦手だ。

そんな私は、なんと返事していいのかすぐに思いつかなくて、とりあえず笑顔で誤魔化した。

すると、サオトメさんの大きな目がぐっと大きくなって、慌てた様子で口元に手の甲を当てた。
その行動に小さなハテナマークを浮かべる。

「そ、そう言えば、まだ名前を言っていなかったね。僕はBクラスのサオトメ・ロレンツォ。ローレンって呼んでくれると嬉しいな」

「私はタチバナ・シエルって言います。クラスは…………まだ、Fクラスです」
恥ずかしくてクラス名だけ、うんと小さな声になってしまう。

「私の呼び方は、好きに呼んでもらって大丈夫です」
「シエル、か……可愛い名前だね。じゃあシエルちゃんかな?」
綺麗な顔で微笑みながら自分の名前を呼ぶから、またドキっとしてしまう。

「いつも、こんなに本を読んでるの?」
「はい。でもこれでも足りないくらいなんです。もっと詳しい本が読みたいんですけど、本はあそこにある物しか無いので……」

ここからバレずに出る方法か、前世に戻る方法を書いている本は今のところ見つからない。
でも、最近読んだ本で『世界線』というものがあると知った。

前世に戻るにはその辺りを詳しく調べる必要がありそうなんだけど……あの図書館の本だけだと情報が足りない。

瞬間移動に関してもそう。
瞬間移動のメカニズムを書いてあっても、実践方法とかは一切書かれていない。

この学園は手紙の内容もチェックされてるようだし、きっと図書館の本もチェックされているんだと思う。

「もっと詳しい本……。一応学園内にあるとは聞くけどね」
「え?」
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