【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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Fクラス-14歳-

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「え?なんだろ……?」
とメイが首をひねると、すぐにポンと手をつく。

「あっそうだ!講師に頼まれてた事があったんだった!」
「え、そうなの?」
まさか……メイ、行っちゃうの!?

内心めちゃくちゃ焦ってる私に気付かないメイは、ペロリと舌を出した。
「うん。へへっ、すっかり忘れてた!」

ショックを受けている私の耳元に、メイが顔を寄せて言う。
「明日、サオトメ様との関係とか教えてよね!そして紹介してよ」
「えっ?」

いやいや、何の関係も無いよ。知ってるでしょ!?私が男子とは交流してない事を。


「じゃあ行ってくる!また明日ね~」
メイは、私に誤解を解く暇も与えずにこの場から去って行ってしまった。

メイに伸ばした手にむなしさを感じると、「じゃあ行こうか」と声をかけられ、今度は肩がぴょんと飛び上がった。

完全に断るタイミングを逃してしまった。

どうしよう。
今さら断れないし、でもこんな綺麗な人と2人っきりだなんて。
相手はまだ10代なのに、あまりの美しさにドキドキしてしまうのが何とも言えない複雑な気持ちだ。

頭を悩ませている私の隣で、サオトメさんは指をクイッと曲げる。
すると次の瞬間、手にしていた本の重みがスッと消えて目の前の本が宙に浮いた。

「わぁっ、う……浮いてる」
これがうわさの浮遊魔法っ!?凄い!そして便利!

浮遊魔法が使える人はとても少ない。
魔力だけじゃなく、ある程度のコントロール力も必要な難しい魔法なんだとか。

そんな魔法をほぼ同い年で使いこなしてるなんて、さすが、飛び級を出すかもしれないと騒がれているだけの事はある。

「女子寮までで大丈夫?」
ニコッと天使のような微笑みを浮かべられる。

「はっ、はい」
普通にしたいのに、声が勝手に上ずる。

「じゃあ寮の入口まで持っていくね」
「あ……りがとうございます」

私は歩き出した彼を見て心の中で叫んだ。

あー!
もう、どうにでもなれ!!と。
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