【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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1000~2000人に1人の存在

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「いいや、違う。君からはもうすでに魔力を感知している。検査の必要はない。
かなり微弱びじゃくだが、感知器もしっかりと反応をしめしていた」
「えっ……嘘……」

私に、魔力が……!?

「ここは国が管理している日本でただ一つの正式な魔法学校だ。別に君を悪いようにはしない。
時々、国のとして手伝ってもらう事もあるが、それ以外は有意義ゆういぎに過ごせるだろう。おい、クリフ。学園内を案内してやれ」

丸い眼鏡の男は、私を運んで来た男にあごで指示をした。

「はいはいさー」

…………

……

反放心状態で建物から出ると、真ん中がくぼんでいる、大きすぎる綿菓子ような入道雲みたいな物が出された。

「乗って」
「の……乗る?」
どこにどう乗るの?っていうか、それ以前にこれは乗り物なの!?

よく見ると、窪みは座席の形をしてなくもないような気もするけど……。


「ああ。学園内の敷地はすっごく広いから、歩いて回ると疲れるからね」
「さっきみたいな感じで移動しないんですか?」

「さっきみたいな感じ……?」
あごに手を添えて空を仰ぐと、すぐにポンと手を叩いた。


「ああ!瞬間移動の事?」
「た、多分……?」

「あれねー、今日はもう3回も使ってるから絶対無理。多分、あともう1回でも使ったらマジで死ねる」
その言葉に首を傾げる。

「瞬間移動っていうのは、たった1回でも酷い疲労感が溜まるんだよ」

ゲッソリとした顔で話しながら綿菓子のような物に乗り込むクリフと言う人を見て、見様見真似に乗り込んでみる。

そんな私を見て、「あ、レディファーストしようと思ってたのに。忘れてた」と頭を押さえる彼に、心の中で『それガールファーストでしょ』と突っ込む。


「じゃあ行くから、掴まっててね」
「掴まる……」
って、どこを!?

と聞く前に走り出してしまったその謎の乗り物は異様な程に早く、どんどん加速していく。

ほほの肉がぜんぶ後頭部に持っていかれるんじゃないかと心配になる位凄いスピードが出て、腹の底からの叫び声を上げた。

「キャァァァァーーーーー!!」

前世で言うなら、これは時速300kmのオープンカーに乗っている感じだろう。そんなの乗った事無いけど。
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