【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

文字の大きさ
上 下
20 / 395
1000~2000人に1人の存在

5

しおりを挟む

「調べ通りだな。君は世間の事は何も知らないのだろう?」

「え……?」
どういう事?
前々から私の事を調べていたの?

たまたま偶然攫ぐうぜんさらわれたんじゃなくて?
じゃあ、今日言いつけを守らなかった事とは関係ない?

の前に簡単に説明しよう」
入園!?いま入園って言った!?
って事は、まさかここは保育園!?そんな馬鹿な!
どう見ても、目の前の人達は保育士さんとは程遠い人相にんそうにしか見えない。


丸眼鏡は目の前にスッと手をかざす素振りをすると、何もなかった所に半透明のボードが出て来た。
そして、そのボードに人の形や円グラフが浮かび上がってくる。


「この世には、1000~2000人に1人くらいの確率で魔法の力を秘めてこの世に生まれてくる」
えっ!?

「絵本とかで『魔法』の存在は知っているとは思うが、君は魔法が本当に存在すると思っているか?」
その言葉に軽く引きながら首を振ると、丸メガネの人は鼻で笑って手の平を天井に向けた。

「残念ながら、それは不正解だ。魔法の力は……」
ボッと火が付くような音がしたと思うと、丸メガネの手の先から青い火の塊のようなものが現れた。

「このように存在している」


火の玉……!?嘘っ……。

「魔法にはこういった分かりやすく視覚で分かるものや、さっき君がここに来た時のような移動型の魔法、他にも様々なものがある。
魔力は生まれ持ったもの。
魔力を持ってない人間がいくら訓練をしたところで、魔法が使えるようにはならない。
魔力はほとんどの場合、3歳から6歳に検査機で感知できるくらいになる。
だから3歳から6歳まで、毎年魔力検診を受ける事を国民の義務としている」


そんな話、嘘だと思いたいのに、いくら言っても家から出して貰えなかった事や、愛してくれているはずなのに、私が病気になっても病院に連れていってくれなかった事。
他にも今まで感じていた不信感や違和感を思い出してしまい、その話を完全に否定することが出来なかった。


「……なのに両親は君にその検診を一度も受けさせなかった。まぁ、元々そういうつもりだったんだろう。君の出生届も出されていなかったからな。だから捕獲が大幅に遅くなってしまった」

出生届が、出されていなかった?
そんな……なんで!?

不安感を感じてネックレスを服越しに触ると、ここまで運んできた男が話し出す。

「……ったく。自分の事しか考えてねぇよな。魔力を持つ子供をそのままにすると大変な事になるって、いい大人なら誰でも知ってる事なのになぁ……」

「大変な事って……?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...