【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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ここ、どこー―!?

全体的にヨーロッパ調で、茶色で統一された家具。

それに大きな机にソファに…………ん?ええーー!?


「天井に……本棚……?」
あれ、どうなってんの?

天井はドーム型になっていて、その半円に沿うようにビッシリと本が並ぶ。
あの本たちは本物なのか……それとも、ああいう飾りなのか……。

眉を寄せて見上げていると、丸い眼鏡の男が渋い顔で「遅い」と言ってくるから顔を前に戻した。

「遅れてすみませんでした」
という言葉に深いため息をつく丸い眼鏡の男は、一人だけ偉そうにソファに腰掛けた。

「あ、そうだ。チビスケ」
ここに連れて来た人に呼ばれて振り返ると、私の顔の前でパパッと手を振られる。

「吐くならここに吐けよ。慣れないうちはキツいからな」
すると、どういう仕掛けか分からないけど、突然どこからともなく大きなバケツが現れて、目が点になった。


さっきの事といい、このバケツといい、情報処理が全く追いつかない。
手品……なんだろうか?でもそうだったとして、何のために?種は?

全然分からないけど、でもこれだけは分かる。


こいつらは人さらいで、
両親の言う『悪い人』だって。

何を言われても、何を見せられても騙されないように気を引き締めて行かないと!


そんな事を考えていると、バケツを手にしてる人はパチクリとした目で聞いてくる。
「……気持ち悪くないのか?」

訳が分からず、ゆっくりと首を横に倒す。

「へぇ、それは凄いな。ずいぶん魔力が低いと思っていたけど、意外と適応能力だけは高いのかもしれないな」

……は?魔力?
今、魔力って言った?

ヤバイよ、この人達。
人さらいという時点で既にヤバイのに、更には大の大人が揃ってコスプレ姿で魔力発言とか……。

この人達、人さらいが趣味の中二病集団?

両親は、こういう人達から私を守りたかったのかな?
これも全部、両親の言う事を守らなかった私のせいだ。でも今更後悔しても遅い。

「鼻血、もう乾いてるけど一応拭いておくぞ」
そう言われて、まだ付いてたんだ、と思っているとゴシゴシとタオルのような物で鼻を拭かれる。

優しい……って、危ない!
こんな事で騙されないんだから!!

この中二病の人さらい集団め!!

そう思って差し出されていたバケツを叩き落としてキッとにらんだ。
バケツが床にガンッと落ちて床に小さな円を描く。

「私を、今すぐママとパパの所に返して!!」

「それは出来ない。国の決まりだからな」
そう言って来たのは、あの丸い眼鏡メガネを掛けたおじさん。

「国の……決まり?」
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