【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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どうして私たちの子供ばかり

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「シエル。外はとっても危険なんだ。
だから、6歳になったらお外デビューしようね。それまで我慢出来るかい?」

危険……?
監禁みたいな事をしているのは、実は究極の過保護って事?

6歳という基準は何?
……あっ!小学校に行く年だっけ?
小学校は義務教育だもんね。さすがに小学校は行かせてくれるんだ。


ずっと言わてれている『長生きして』という言葉の裏に、何か隠されてるんだろうか?
実は私より前に生まれた子供が居て、小さい頃に交通事故にったとか……?


本当は色々な疑問があった。
聞きたいことが山のようにあった。
でも、そんな疑問は口から出ないようにゴクリとお腹に戻してうつむいた。

だって、やっぱりこれ以上はなんとなく聞いてはいけない気がしたから。


私が、期限が決まっているのなら、あと2年我慢すればいいだけだ。
そう思って、腹に疑問や不満を無理やり落とし込んだ。

…………

……

突然、椅子に腰掛けている私の首に、漆黒しっこくの長い髪が絡みついた。

息が詰まるほどの苦しさを覚えたその瞬間、視界が完全に黒い髪に覆われ、闇が迫ってきた。

「は……あぁ……」
お父さん……お母さん……助けて……。
そう言いたいのに上手く声が出せない。

『まだ生きていたのか。殺してやる』
くぐもったような低い声が直接鼓膜を揺らす。

もう、息が出来ない。
「や……め……」


突然、私の首に手が伸び、折れそうなくらいに絞め上げられた。
首元からミシッと鈍い音が響いた瞬間――


「ああぁ――――!!」

景色がガラリと変わり、いつもの天井が視界に入った。


気持ち悪い感覚が顔に広がり、手を当てるとべっとりとした汗がついていた。
そして、荒い自分の息遣いが耳に入ってきて、さっき見た映像は現実ではなく、ただの悪夢だと理解した。

もう夢だと分かっているのに、私は首に手を当てて無事を確かめずにはいられなかった。

心臓はドドドドと酷い音を立てて、うるさいくらいに脈打っている。


ふと首を右に振ると、薄暗く、ほんのり青い寝室の様子がいつもと違っていた。
いうならば、大きな地震でも来たかのようでひどく荒れていた。
何事かと思った時、反対側からすすり泣く声が飛び込んで来た。

「うっ……ぐずっ……」
その声に引き寄せられるように、今度は左側に首を振る。
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