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【AnotherSTORY】特別室のひととき
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「そうだよ」
帰り際に渡されて、帰ってから開けたから知らなかったけど、あれってみんなと同じだと思ってたけど、私だけ違ったって事?
でも……なんで?
もしかして、いつもイジメてる事の罪滅ぼし⋯⋯とか?
良く分からないけど……
ヤバい……
凄く、嬉しい。
「あげる相手を聞いても教えてくれなかったけど、絶対遥ちゃんだと思ったよ」
「なんでですか?」
「産まれた時から彰お坊ちゃまを見てきたからねぇ。母親的な勘だね」
「母親的な勘、ですか」
「そうだね。勘だけじゃなくて、母親並の権力があれば良かったのに」
そう言って私を見ると一気に顔が曇った。
「……え?」
権力って?
実は東十条家を乗っ取る計画があるとか?
テレビドラマじゃあるまいし……。
キヨコさんはそんな事する人じゃ無さそうだし。
「あ!そうだった今日はアルバムを持って来たよ。遥ちゃんも見るだろ?」
曇った表情がパッと晴れると、机の横に置いてあった大きなキャリーバッグを開けて中から大量の写真集を出した。
今日は荷物が多いと思ったら、こんな物が入っていたなんて。
「見たいですけど、でも、アキラの許可なしで見てもいいんですかね?」
「いいよいいよ。親代わりの私が許可する」
笑いながら机の上にどんどん詰まれていくアルバム。
何冊持ってきたの?
年少から小5までは同じだったから、色々知ってるけど、やっぱり見たい。
家にある写真には、ほとんどアキラは写って無いし。
「ありがとうございます」
そう言って机に置かれた写真集のようなアルバムを開いていく。
プロが撮ったような芸能人の写真集のような表紙を開くと、中は一般的なアルバムになっていた。
あっ、崇お兄ちゃんもいる。
やっぱり、親が写っているのは誕生日パーティの日だけ。
お母さん、綺麗だけどやっぱり好きになれないな。
写真からでも、自分にしか興味無いのが滲み出している。
「かわいー」
小2くらいかな?
あの怖かった彰って、実はこんなに可愛いものだったんだ。
大人になって見るとなんか変な感じ。
「あっ、私も写ってる」
「これは参観の時だねぇ」
あっ、私をイジメてる写真まで⋯⋯。
さっきまで、つまらなさそうな顔が連続していたのに、急にアキラの顔が生き生きしているのは気のせいか⋯⋯
鬼だ。
でもこうやって見ると、意外と可愛いものに見えてくるから不思議だ。
そしてアキラの後ろで彰を見る私の姿。
それはどう見ても恋してる目に見えた。
いやいや、気のせい気のせい。
と思ってページをめくると、大きなベットの上で泣いてるアキラがいた。
「あの……これは……」
「ああ、これかい?確か最後のおねしょの時だったと思うよ。彰お坊ちゃまは実は小2まで時々夜のおねしょしてたんだよ」
「えぇ!?小2まで……!?」
「そうなんだよ。寝る前に飲み物飲む習慣がなかなか取れなくてねぇ。
私の言うこと聞かずに寝る前にガブガブと飲むものだから……」
あの腕を組んでふんずりかえっていたあのアキラが!?
あの時も、あの時も……実は家ではおねしょしていたと!?
もう自分のイメージするアキラと合致しなくて混乱する。
まぁ、あれだ。
彰も人の子なんだな。
妙な親近感を感じてからふと思った。
この事は聞かなかった事にしようって。
終
ーーーーーー
ここまでお読み頂きありがとうございました。
アナザーストーリーを載せていこうと思っていたのですが、メインの方ではスター特典(イイネ的存在)という物にしているので、掲載はこの話だけにしようと思います。
他に運動会のシーン、彰のお父さんと香織さんのその後、彰の幼少期、設定と時系列、があります。
メインはプロフィールに載せているエブリスタになりますので、もし興味のある方はそちらで読んで頂けると嬉しいです。
帰り際に渡されて、帰ってから開けたから知らなかったけど、あれってみんなと同じだと思ってたけど、私だけ違ったって事?
でも……なんで?
もしかして、いつもイジメてる事の罪滅ぼし⋯⋯とか?
良く分からないけど……
ヤバい……
凄く、嬉しい。
「あげる相手を聞いても教えてくれなかったけど、絶対遥ちゃんだと思ったよ」
「なんでですか?」
「産まれた時から彰お坊ちゃまを見てきたからねぇ。母親的な勘だね」
「母親的な勘、ですか」
「そうだね。勘だけじゃなくて、母親並の権力があれば良かったのに」
そう言って私を見ると一気に顔が曇った。
「……え?」
権力って?
実は東十条家を乗っ取る計画があるとか?
テレビドラマじゃあるまいし……。
キヨコさんはそんな事する人じゃ無さそうだし。
「あ!そうだった今日はアルバムを持って来たよ。遥ちゃんも見るだろ?」
曇った表情がパッと晴れると、机の横に置いてあった大きなキャリーバッグを開けて中から大量の写真集を出した。
今日は荷物が多いと思ったら、こんな物が入っていたなんて。
「見たいですけど、でも、アキラの許可なしで見てもいいんですかね?」
「いいよいいよ。親代わりの私が許可する」
笑いながら机の上にどんどん詰まれていくアルバム。
何冊持ってきたの?
年少から小5までは同じだったから、色々知ってるけど、やっぱり見たい。
家にある写真には、ほとんどアキラは写って無いし。
「ありがとうございます」
そう言って机に置かれた写真集のようなアルバムを開いていく。
プロが撮ったような芸能人の写真集のような表紙を開くと、中は一般的なアルバムになっていた。
あっ、崇お兄ちゃんもいる。
やっぱり、親が写っているのは誕生日パーティの日だけ。
お母さん、綺麗だけどやっぱり好きになれないな。
写真からでも、自分にしか興味無いのが滲み出している。
「かわいー」
小2くらいかな?
あの怖かった彰って、実はこんなに可愛いものだったんだ。
大人になって見るとなんか変な感じ。
「あっ、私も写ってる」
「これは参観の時だねぇ」
あっ、私をイジメてる写真まで⋯⋯。
さっきまで、つまらなさそうな顔が連続していたのに、急にアキラの顔が生き生きしているのは気のせいか⋯⋯
鬼だ。
でもこうやって見ると、意外と可愛いものに見えてくるから不思議だ。
そしてアキラの後ろで彰を見る私の姿。
それはどう見ても恋してる目に見えた。
いやいや、気のせい気のせい。
と思ってページをめくると、大きなベットの上で泣いてるアキラがいた。
「あの……これは……」
「ああ、これかい?確か最後のおねしょの時だったと思うよ。彰お坊ちゃまは実は小2まで時々夜のおねしょしてたんだよ」
「えぇ!?小2まで……!?」
「そうなんだよ。寝る前に飲み物飲む習慣がなかなか取れなくてねぇ。
私の言うこと聞かずに寝る前にガブガブと飲むものだから……」
あの腕を組んでふんずりかえっていたあのアキラが!?
あの時も、あの時も……実は家ではおねしょしていたと!?
もう自分のイメージするアキラと合致しなくて混乱する。
まぁ、あれだ。
彰も人の子なんだな。
妙な親近感を感じてからふと思った。
この事は聞かなかった事にしようって。
終
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ここまでお読み頂きありがとうございました。
アナザーストーリーを載せていこうと思っていたのですが、メインの方ではスター特典(イイネ的存在)という物にしているので、掲載はこの話だけにしようと思います。
他に運動会のシーン、彰のお父さんと香織さんのその後、彰の幼少期、設定と時系列、があります。
メインはプロフィールに載せているエブリスタになりますので、もし興味のある方はそちらで読んで頂けると嬉しいです。
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