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犬、やめました。
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しおりを挟む私、何か悪い対応した?
私だけ除け者にしないといけない程、何かかが悪かった?
でも、思い返してみても、心当たりなんて一つも思い浮かばない。
だって、まだ殆ど喋っても無いんだから。
彰のお父さんは、彰でさえも次いつ会えるかも分からないのに。
一体何考えてんの?
引っ張られて、どんどんドアの方に連れていかれる私は、彰の後ろ姿を見ながら焦りが湧く。
このままだと、今日この日のために準備して来た事が台無しになる。
そんなの駄目だ。
「彰。ちょっと……」
「俺は、お前が傷付けられる所なんて、見てらんねぇし、それが親父であっても一切許容出来ない!」
そんな独り言のような呟きが耳に入って来て、驚いた。
彰は今、私の為に怒ってくれているんだって分かったから。
本当に、これ位の事なんともないのに。
でも、それを今の彰に言ったところでどうにもならない気がする。
だったら、どうしたら……
その時、ドアの前で彰がピタリと足を止めた。
「親父、何がおかしいんだよ」
そう言って振り返る彰に釣られて私も振り返ると、そこには肩を震わせ笑う彰のお父さんがいた。
「お前はいつも、白藤さんの事になるとすぐムキになって。まるで子供だと思ってな」
「んだと?」
今度は一歩足を前に踏み出す彰の腕を、咄嗟に掴む。
「彰っ」
「離せ遥」
今、この手を離すといけない気がする。
そんな思いで離せないよう、胸が当たるくらいに腕を強く掴んで彰のお父さんの方を向く。
「人の為に怒れる事が、そんなにおかしい事ですか?」
私の言葉に歪んだ笑みから、突然顔の筋肉が無くなったかのように無表情に変わり、彰に似た鋭い目を私に向けて来た。
「私は、大切な人を守るために必死になれる事も、人の為に怒れる事も、凄く素敵な事だと思います。
そんな事が出来る彰さんを笑うなんて、父親失格ですよね」
「ふ、……父親失格……ねぇ」
「それにさっきの話ですけど、先に約束を破ったのは貴方ですよね?」
「私が?」
目を細め続ける。
「何時?」
「私は、彰の気持ちを配慮するという条件で彰と関わらないようにすると約束しました。それを貴方は守っていませんでしたよね?」
すると鼻で笑われる。
「君の思い違いだろう。約束は守っているよ」
「いいえ、嘘よ。守ってないです。結納の日、逃げ出さないように彰さんを監禁したそうですね」
この話を出すと、表情に変化が見られると思っていたのに、残念なことに眉ひとつも動かさない。
「他にも無理やり婚約させようとした手口の数々を、全て彰さんから聞きました。それはどう考えても彰さんの気持ちを配慮していると思えるものではありませんでした」
「……で?」
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