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涙の決断
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って言う彰の顔はいつの間にか胸元に降りて来ていて、それに気付いた時には、またはしたない声が漏れてしまった。
「はっ……ああっ……」
片方の膨らみには大きな彰の手、もう片方は彰の舌で転がされ、訳が分からなくなる。
「……ん」
まだ少し水分を含んだ前髪が鎖骨下あたりに何度も触れる。
でも、その冷たさなんてなんとも思わないくらいに自分の体が熱されて……
「あぁ……」
意思と関係なく幾度となく震える体。
怖い……。
どんどん流される。
そっちは駄目だって言ってるのに。
「ほんとに……やめて……。あ、彰ぁ……痛っ!」
快感の中に小さな痛みが走って彰を見る。
「い、今噛んだ……?」
「遥……。お前は大人しく俺の犬をしとけばいいんだよ」
その時に映った、彰の苦し気な表情を見て思った。
さっきのは違うって。
私、間違ってた、って。
私だけが振り回されていたと思ってたけど、私も彰を多少なりとも振り回していたんだ。
ただ、思い通りにならない玩具が気に入らなくて追いかけまわしていたわけじゃないんだ。
信じられないけど、そうじゃないと、あの彰がこんな顔しないと思うから。
「彰……っごめ……ん」
彰の手がピタリと止まる。
滑稽だと思うけど、私は彰に幸せになって貰いたい。
彰のお父さんと約束したし、素敵でお似合いな婚約者さんだっている。
ここは私が身を引くのが彰にとって良いのは絶対。
もし結納の場から逃げて来たんだとしても、あの家に親の元なんだから、婚約や結婚は免れない。
私の行動なんて、彰にとっては大したことないと思っていたのに、
気付くのが遅くなってごめん。
一方的に意見押し付けて、返事もせず、逃げ回って振り回して、
本当にごめん。
もう、
終わりにするね。
「彰……聞いて。私ね……」
彰を苦しめてしまった事、それにこれから言う言葉が余りにも辛くて、驚く程に涙が出て来た。
そのせいで、自分でも聞き取りにくい位に掠れた声が出た。
「私、彰の事……」
また言葉が出てこなから大きく深呼吸をしてから彰を真っ直ぐに見た。
「彰が言う通り…………大っ嫌いだよ」
そう言った自分は、まるで自分じゃないような感覚に陥った。
まるで、別人みたい。
こんなに胸は痛むのに。
痛くて痛くて、言葉が沢山の矢になって胸に遠慮なく刺さって、張り裂けたんじゃないかと思う位の痛みを感じた。
「はっ……ああっ……」
片方の膨らみには大きな彰の手、もう片方は彰の舌で転がされ、訳が分からなくなる。
「……ん」
まだ少し水分を含んだ前髪が鎖骨下あたりに何度も触れる。
でも、その冷たさなんてなんとも思わないくらいに自分の体が熱されて……
「あぁ……」
意思と関係なく幾度となく震える体。
怖い……。
どんどん流される。
そっちは駄目だって言ってるのに。
「ほんとに……やめて……。あ、彰ぁ……痛っ!」
快感の中に小さな痛みが走って彰を見る。
「い、今噛んだ……?」
「遥……。お前は大人しく俺の犬をしとけばいいんだよ」
その時に映った、彰の苦し気な表情を見て思った。
さっきのは違うって。
私、間違ってた、って。
私だけが振り回されていたと思ってたけど、私も彰を多少なりとも振り回していたんだ。
ただ、思い通りにならない玩具が気に入らなくて追いかけまわしていたわけじゃないんだ。
信じられないけど、そうじゃないと、あの彰がこんな顔しないと思うから。
「彰……っごめ……ん」
彰の手がピタリと止まる。
滑稽だと思うけど、私は彰に幸せになって貰いたい。
彰のお父さんと約束したし、素敵でお似合いな婚約者さんだっている。
ここは私が身を引くのが彰にとって良いのは絶対。
もし結納の場から逃げて来たんだとしても、あの家に親の元なんだから、婚約や結婚は免れない。
私の行動なんて、彰にとっては大したことないと思っていたのに、
気付くのが遅くなってごめん。
一方的に意見押し付けて、返事もせず、逃げ回って振り回して、
本当にごめん。
もう、
終わりにするね。
「彰……聞いて。私ね……」
彰を苦しめてしまった事、それにこれから言う言葉が余りにも辛くて、驚く程に涙が出て来た。
そのせいで、自分でも聞き取りにくい位に掠れた声が出た。
「私、彰の事……」
また言葉が出てこなから大きく深呼吸をしてから彰を真っ直ぐに見た。
「彰が言う通り…………大っ嫌いだよ」
そう言った自分は、まるで自分じゃないような感覚に陥った。
まるで、別人みたい。
こんなに胸は痛むのに。
痛くて痛くて、言葉が沢山の矢になって胸に遠慮なく刺さって、張り裂けたんじゃないかと思う位の痛みを感じた。
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