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涙の決断
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しおりを挟む店員が来ると、彰は私を指差して慣れたように話始める。
「このドレスと……あと今付けてるアクセサリー類全部と靴をこれで」
「え……ちょっと待って……」
完全に決定権は彰。
私は完全に置いてけぼりで、その後は次々と私の意見無しに決められていく。
気付けば彰の手には生まれて初めて見る黒いカードがあって、更に焦りが生まれてくる。
きっと、この靴一つを取ってもめちゃくちゃ高いに決まってる。
まだ学費も返せてないのにこれ以上アキラに出してもらう訳には……。
こうなったら10回払いでも、30回払いでもいいから私が払う!
「待って。私が出……」
出す!
と言おうとした瞬間、チラッと見えたスタッフの手にある電卓に驚き固まり、それ以上何も言えなくなった。
だって、桁の数が思っていたより1桁も多かったから。
『出す』なんて死んでも言えない。
「ま、ま、待って!ちょっと考える!考えさせて!」
「は?めんどくせぇ事言うなよ。さっき良いって言ったじゃねぇか」
眉を寄せて面倒くさそうな顔が向く。
「いや、ドレスは良いんだけど、めちゃくちゃ素敵なんだけど!でも、それは金額とか知らなかったからで……」
こんな高額な物、払ってもらう訳にはいかないという思いで話していると、彰は私の唇に人差し指を当てた。
「キャンキャンとうるせぇ奴だな。俺がいいって言ってんだから良いんだよ!」
やっぱ傍若無人だ。
「で、でも……」
その後、私が何を言っても意見は聞いて貰えず……買う事に反対する私を気にするスタッフに「さっさと会計しろ」と指示して呆気なく全身お買い上げされてしまった。
そんな目が飛び出る程の金額を私に出すなんて、意味わかんない。
どういうつもり?
お金持ちの犬って毛並みも綺麗だし、いい服を着てたりもするから、そんな感じなんだろうか?
「キャンキャンとうるせぇ奴だな。俺がいいって言ってんだから良いんだよ!」
やっぱ、彰は傍若無人だ。
「で、でも……」
その後、私が何を言っても意見は聞いて貰えず……買う事に反対する私を気にするスタッフに「さっさと会計しろ」と指示して呆気なく全身お買い上げされてしまった。
そんな目が飛び出る程の金額を私に出すなんて、意味わかんない。
どういうつもり?
お金持ちの犬って毛並みも綺麗だし、いい服を着てたりもするから、そんな感じなんだろうか?
…………
……
買い物の後は、近くの一流ホテルの最上階にあるレストランに連れてこられた。
さっきの店で、いつの間にか買われていた燃えるような真っ赤なワンピースに着替えさせられて。
意味不明。
彰は何がしたいんだろう。
レストランに足を踏み入れると、常連なのか受付の人が彰の顔を見るなり
「お待ちしておりました。東十条様」とお辞儀をしてきて奥へと案内された。
客席を通ると遠くに座っている女性客達が彰に熱い眼差しが送っていた。
そらそうだ。
芸能人でもここまで整った顔の人、なかなか居ない。
まるで作り物じゃないかと思うくらいの美貌。
それなのに身長も180cmを超えていて、このスタイル。溢れ出す品。
まぁ口は悪いけどね。でも、それは喋らないと分からないもんね。
1番奥の個室に通されると、大きな窓には夜景が広がっていた。
「うわぁー。綺麗」
彰の家から見える夜景とは、少し違って新鮮に見える。
今思うと、犬になった日から何度も会っていたけど、こんなデートみたいなのは初めてじゃない?
「だろ。お前こういう所が好きそうだったから」
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