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一瞬の再会-東十条彰Side-

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「前からだよな。遥と引き離そうとするのは。遥が何したって言うんだよ!」

「お前はアメリカで何を学んでるんだ?まさか女遊びをする為に行った訳でも無いな」
「は?崇ニィと一緒にすんな」

「なら分かるはずだ。
お前は長男では無いが、いずれお前にこの東十条ホールディングスを任そうと思っている。
この地位は一時的な感情よりも、将来を見据えた損得で付き合う相手を選ばなければいけない地位だ」

「なんの話をしてんだよ。俺はっ……」
俺の話はため息を付いた父さんにさえぎられる。

「この話で分からないのならもういい。話は終わりだ。私は少々彰を買いかぶりすぎていたようだ」
と、手で払う仕草をすると大きな背を向けた。

「意味わからねぇ!待てよ!理由を言えよ!」
「お前はもう少し大人になれ」


翌日、父さんは、何のために帰宅したのか分からない程早くに日本を立った。





結局家からも出して貰えない俺は、世話係の目を盗んでは遥の情報を探ったけど全く情報が得られなかった。

改めて父さんの権力とやらを見せつけられた気がした。

誕生日パーティくらいでしか接点もない遥を、どうしてそこまで毛嫌いして離したがるんだろう。
結局、俺は何も情報も掴めないまま、疑問だけを抱いてアメリカに戻る形となった。


…………

……



「やぁ、何見てるの?」
休み時間、背後からクラスメイトが話しかけけてきた。
「あれ、彰が女の子の写真なんか見てる」

「なんだよ、勝手に見んなよ」
すぐに画面を消す。

「なんで隠すんだよ。その可愛い子は誰?……でも酷く地味だったな。彰って意外とああいうのが好みか?」
「るせぇ!お前に関係ねぇだろ」

「えー。ハイスクール1のモテ男が女の画像を見てたなんて、気になるじゃん」
「別にモテたかねぇよ」
「ひぇー、俺もそんな事言ってみてぇ~」

青い目で尊敬の眼差しを送ってくる中、自慢のGカップを揺らしながらどこからとも無く現れたのは、ハイスクールのマドンナ。

「ハーイ、彰。今日の予定はどう?」





「なんで?」
「なんでって⋯⋯私に言わせないでよ。また彰の家につれてってって事でしょ?分かるじゃん」

片耳に長いブロンドの髪を掛けて前かがみになるから、シャツから谷間が見えた。
まぁ、『見えた』と言うより『見せた』の方が近いんだろうけど。

「一度だけだって言ったじゃねぇか」
「いや、でも⋯⋯」
さっきまで自信満々だったマドンナは、少し驚いた顔をして自身なさげに返してきた。

「俺、約束守らない奴は嫌いなんだけど」
そう言って睨むと涙目になってこの場から走り去った。


「もったいねー。学園のマドンナなのに」
「別に。どうでもいい」
「あのGカップの何が不満なのさ」

「別に、何カップでも興味ねぇよ。
それにしてもみんな、よく何度も同じ女を抱けるよな。
一度なら気晴らしに抱けても、二度目とか無理だわ」

「お前くらいだろ。あんな美女が誘って来てるのに断るとかさ。羨ましいぜ!俺なら毎晩でもお願いしたいくらいなのに」

「すげぇな。マジで関心するわ」
「いや、普通だろ。
彰は好きになった奴とか居ないわけ?」

「はぁ?そんなの居るわけ⋯⋯」

『彰なんて大っ嫌い!』
『あ、あの……助けてくれて、ありが……』


「どうした?固まって」
呼びかけられて意識がこの教室に戻って来る。
不思議そうな顔で覗き込む青い目に、一瞬戸惑いを覚える。

「……馬鹿らしい!そんなの俺に居るわけねぇだろ!」

「おい!どこ行くんだよ!もう休み時間終わるぞ」
そう呼び止められたけど、俺は振り返ることもなく教室を出た。


なんでここで遥の顔が出てくるんだよ!!
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