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一瞬の再会-東十条彰Side-
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なんでか分からないけど、いつもの怯えた顔じゃなくて少しでも笑顔が見たかったから。
ただそんな単純な理由。
「ふふっ、言われなくても分かってるよ。あぁー、夢でも懐かしいな」
落ち着いたように部屋をぐるりと見渡し笑う遥。
それに対して何故かソワソワして落ち着かない俺。
立場が反対だろ。
なんか気に食わねぇ。
こんなに久しぶりなのに、、夢だと思ってたとしても、どうしてお前はそんな落ち着いていられるんだ。
「嫌じゃないのか?俺と話すの」
後々人伝いに聞いて知ったけど、前は俺の事が嫌いで、更にはキスした俺の事を軽蔑までしてたみたいだけど。
けど今はそんな風には見えない。
「別に。夢だから怖くないし」
「なんだよ。いつもの俺はそんな怖いか?」
「うん。怖いに決まってんじゃん。何考えてるのか分からないし、すぐ怒るし。それに……あっ」
遥はそう言うと、急に頬を染めて口を塞いだ。
「ん?それに、なんだよ」
「い……言えない……」
「は?言いかけたのなら最後まで言えよ。どうせ夢だろ?」
「夢でも……な、なんか言い難いんだもん…………」
そう言って布団を握る。
「言えよ。途中で止めたら気になるだろ」
「そう、だよね……。ごめん。彰が私のファ……キスを勝手に奪った話をしそうになったんだけど……自分で言い出してから……なんか、恥ずかしくなっちゃって」
どんどん語尾が小さくなっていって聞き取りにくかったけど、きっと『ファーストキス』と言ったんだろう。
遥はそんな話を、怒るわけでも、悲しむわけでも無く、真っ赤になって言った。
「遥」
「なに?」
恥ずかしそうに手で頬を覆い隠す遥が俺を見る。
「その、ことなんだけど」
「その、事?」
覆っていた手が顔から離れたと思うと、ズボンのポケットに入っている携帯がピコンッと鳴った。
「携帯鳴ったよ」
「知ってる、別にいい」
そう言い切る前に、またピコンと鳴る。
その直後から何度も鳴り出す携帯に遥の驚いた目が向く。
「凄く鳴ってるよ。急ぎなんじゃない?」
そう言って首を傾げる遥。
「あー」
なんだよ、それ。
可愛く見せようとして。遥のクセに。
「はー、ったく誰だよ!」
照れ隠しに舌打ちをしてメッセージを開くと、正月だからかグループチャットで正月スタンプが沢山並んでいた。
「お前ら……」
マジでタイミング考えろ!っと心の中で叫ぶと、携帯の向こう側からキラキラした眼差しを送ってくる遥に気付いた。
そう言えばこいつ、倒れる前もそんな興味津々な目で見てたな。
「何?」
ただそんな単純な理由。
「ふふっ、言われなくても分かってるよ。あぁー、夢でも懐かしいな」
落ち着いたように部屋をぐるりと見渡し笑う遥。
それに対して何故かソワソワして落ち着かない俺。
立場が反対だろ。
なんか気に食わねぇ。
こんなに久しぶりなのに、、夢だと思ってたとしても、どうしてお前はそんな落ち着いていられるんだ。
「嫌じゃないのか?俺と話すの」
後々人伝いに聞いて知ったけど、前は俺の事が嫌いで、更にはキスした俺の事を軽蔑までしてたみたいだけど。
けど今はそんな風には見えない。
「別に。夢だから怖くないし」
「なんだよ。いつもの俺はそんな怖いか?」
「うん。怖いに決まってんじゃん。何考えてるのか分からないし、すぐ怒るし。それに……あっ」
遥はそう言うと、急に頬を染めて口を塞いだ。
「ん?それに、なんだよ」
「い……言えない……」
「は?言いかけたのなら最後まで言えよ。どうせ夢だろ?」
「夢でも……な、なんか言い難いんだもん…………」
そう言って布団を握る。
「言えよ。途中で止めたら気になるだろ」
「そう、だよね……。ごめん。彰が私のファ……キスを勝手に奪った話をしそうになったんだけど……自分で言い出してから……なんか、恥ずかしくなっちゃって」
どんどん語尾が小さくなっていって聞き取りにくかったけど、きっと『ファーストキス』と言ったんだろう。
遥はそんな話を、怒るわけでも、悲しむわけでも無く、真っ赤になって言った。
「遥」
「なに?」
恥ずかしそうに手で頬を覆い隠す遥が俺を見る。
「その、ことなんだけど」
「その、事?」
覆っていた手が顔から離れたと思うと、ズボンのポケットに入っている携帯がピコンッと鳴った。
「携帯鳴ったよ」
「知ってる、別にいい」
そう言い切る前に、またピコンと鳴る。
その直後から何度も鳴り出す携帯に遥の驚いた目が向く。
「凄く鳴ってるよ。急ぎなんじゃない?」
そう言って首を傾げる遥。
「あー」
なんだよ、それ。
可愛く見せようとして。遥のクセに。
「はー、ったく誰だよ!」
照れ隠しに舌打ちをしてメッセージを開くと、正月だからかグループチャットで正月スタンプが沢山並んでいた。
「お前ら……」
マジでタイミング考えろ!っと心の中で叫ぶと、携帯の向こう側からキラキラした眼差しを送ってくる遥に気付いた。
そう言えばこいつ、倒れる前もそんな興味津々な目で見てたな。
「何?」
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