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一瞬の再会-東十条彰Side-

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俺はあの日、誓ったんだよ。
もう、お前に近付かないって。

「思い出したくもない思い出を掘り起こさせやがって!!」

行き場のない苛立ちを運転手にぶつけても仕方ないのに、誰かに当たらずには居られない。

「な、なんのお話でございますか?
も、申し訳ございませんが、彰お坊ちゃま。
早く進みたいのは山々なのですが……この渋滞では……」

「あー、イライラする。
さっさと視界から居なくなれよ!」

「もももも申し訳ございません!
で、出来るならお坊ちゃまの望む通りにさせて頂きたいのですが、なにぶん今運転中でございまして……」
「てめぇに言ってねぇよ!」
「は?」


腕を組み、足を揺する俺を見て、ミラー越しの運転手はどんどん青くなっていく。

「一秒でも早くここから抜け出せ」
「出来る限りの事はさせていただきます。ですがさっきも申し上げた通り……」

「うるせぇ!俺を誰だと思ってるんだ!!それが出来ないならクビだからな!」




そう言うと、運転手は悲鳴を上げながら車道端をすり抜けて無理やり細い路地に入った。

「出来るじゃねぇか、最初っからこうしてろ」

やっとアイツの姿が見えななる、そう思ってホッとした瞬間――


ガシャンッ!!

微かに後方から自転車が倒れるような音が聞こえて、すぐに振り返った。
でも路地に入ったせいで女の姿も、自転車も何も見えない。

別に……いいだろ。
転けるくらいあるだろ。

それより俺が近付かない方が、あいつの為だろ。

だ……よな。


あー、なんかもう面倒くさ!!

何ごちゃごちゃ考えさせられてんだよ。
いつも通り、俺らしく、俺がやりたいようにやればいいじゃん!


俺は東十条彰だぞ。


俺は東十条彰だぞ。



「……おい、戻れ」
「へ?あ、まさか、さっきの道に戻るというお話でしょうか?」

「そうだ。分かってんなら早く戻れ!」
「めちゃくちゃでございます。
ここは一方通行でして……あ!お坊ちゃま!どこに行かれるんですか!!」

「もういい!後は自分で帰る!」

そう言って車を飛び出した。
「そんな、困ります」
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