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遅すぎる自覚
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「スキンシップが多い方が好きになってくれる確率高くなるって心理学でもあるだろ?遥ちゃんには、早く俺の事を好きになって貰いたいからこうやって引っ付いてるんだよ」
そう言って後ろからギュっと抱きしめられる。
「崇ニィ、よくこんな人が通る所で、そんな恥ずかしい事を言えるな」
悪い物でも見たような目を向ける。
「そうだね。でも、恥ずかしいからって自分の気持ちも言わずに誰かの手に渡ってしまうくらいなら……こんな事は大した事無いと思うから。
…………俺は」
何かを含めたような言い方をしたと思ったら、何故かアキラは歯を食いばった。
「なんだよ……それ」
アキラの視線が私に降りて来る。
バチっと目が合うと何かが来る予感がした。
「遥!!」
いきなりそう呼ばれて、思わず元気よく「はい!」と返事をしてしまう。
「来い。ポチ」
不機嫌な顔で、でも少し照れてるように見えるアキラは私に向かって大きく手を広げた。
「は?誰がポチよ」
ってか無理でしょ。
タカシお兄ちゃんがガッチリと抱きついてるこの状態だし、話の感じから逃がしてなんてくれなさそうだし。
試しにタカシお兄ちゃんを見上げると、ニコッと王子様の笑顔を向けられ
「駄目だよ?」と言われてしまう。
やっぱりそうですよね。
「おい、ポチ。俺に逆らったら、どうなるか分かってんだろうな!」
いやいや、そんな事言われても……。
と思ってると、アキラはポケットから取り出してきたスマホをチラつかした。
ヒィーー!!
ここでそんな技使ってくる?
周りにめちゃくちゃ人いるし!更に人が集まって来てるし!
そしてアキラの目、よく見ると完全にブチキレてるし!
「タ、タカシお兄ちゃん、ごめんなさい。その……離してくれませんか?」
「えぇ?離してアキラの所に行くのなら離したくないな」
口を尖らせられ、アッサリ拒否される。
「……っ」
どうしよう。
こんなに人がいる所であの写真をばら撒かれたら……。
そんな情景を想像するだけで血の気がひいてくるし、泣きそうになる。
「……遥ちゃんにそんな困った顔をされると、俺、駄目だね……」
そう耳元で話されるとタカシお兄ちゃんの腕が緩んだ。
「今度二人で会ってよ。久しぶりに秘密の場所とかも連れてってあげたい」
秘密の場所……。
それは、タカシお兄ちゃんの事が好きだった時の、思い出の場所。
返事に迷ってると「遥!」と呼ばれてアキラを見る。
私はアキラに吸い寄せられるように出来た隙間からアキラの胸の中に飛び込んだ。
アキラは、「遅せぇよ」と言いながら、私を迎え入れるように強く抱きしめる。
こんなに沢山の人に囲まれているのに。
アキラは気付いていないんだろうか。
気付いていたら絶対こんな事しないよね?
それにしても、今さっきまでタカシお兄ちゃんに抱きしめられていたけど……全く違う。
やっぱり私は、
断然アキラの腕の中がいい。
「タカシお兄ちゃん……」
自分の気持ちがハッキリと分かると、気持ちを伝えるつもりでアキラの腕の中から振り返る。
「ごめんなさい……。やっぱり私……」
そう言って後ろからギュっと抱きしめられる。
「崇ニィ、よくこんな人が通る所で、そんな恥ずかしい事を言えるな」
悪い物でも見たような目を向ける。
「そうだね。でも、恥ずかしいからって自分の気持ちも言わずに誰かの手に渡ってしまうくらいなら……こんな事は大した事無いと思うから。
…………俺は」
何かを含めたような言い方をしたと思ったら、何故かアキラは歯を食いばった。
「なんだよ……それ」
アキラの視線が私に降りて来る。
バチっと目が合うと何かが来る予感がした。
「遥!!」
いきなりそう呼ばれて、思わず元気よく「はい!」と返事をしてしまう。
「来い。ポチ」
不機嫌な顔で、でも少し照れてるように見えるアキラは私に向かって大きく手を広げた。
「は?誰がポチよ」
ってか無理でしょ。
タカシお兄ちゃんがガッチリと抱きついてるこの状態だし、話の感じから逃がしてなんてくれなさそうだし。
試しにタカシお兄ちゃんを見上げると、ニコッと王子様の笑顔を向けられ
「駄目だよ?」と言われてしまう。
やっぱりそうですよね。
「おい、ポチ。俺に逆らったら、どうなるか分かってんだろうな!」
いやいや、そんな事言われても……。
と思ってると、アキラはポケットから取り出してきたスマホをチラつかした。
ヒィーー!!
ここでそんな技使ってくる?
周りにめちゃくちゃ人いるし!更に人が集まって来てるし!
そしてアキラの目、よく見ると完全にブチキレてるし!
「タ、タカシお兄ちゃん、ごめんなさい。その……離してくれませんか?」
「えぇ?離してアキラの所に行くのなら離したくないな」
口を尖らせられ、アッサリ拒否される。
「……っ」
どうしよう。
こんなに人がいる所であの写真をばら撒かれたら……。
そんな情景を想像するだけで血の気がひいてくるし、泣きそうになる。
「……遥ちゃんにそんな困った顔をされると、俺、駄目だね……」
そう耳元で話されるとタカシお兄ちゃんの腕が緩んだ。
「今度二人で会ってよ。久しぶりに秘密の場所とかも連れてってあげたい」
秘密の場所……。
それは、タカシお兄ちゃんの事が好きだった時の、思い出の場所。
返事に迷ってると「遥!」と呼ばれてアキラを見る。
私はアキラに吸い寄せられるように出来た隙間からアキラの胸の中に飛び込んだ。
アキラは、「遅せぇよ」と言いながら、私を迎え入れるように強く抱きしめる。
こんなに沢山の人に囲まれているのに。
アキラは気付いていないんだろうか。
気付いていたら絶対こんな事しないよね?
それにしても、今さっきまでタカシお兄ちゃんに抱きしめられていたけど……全く違う。
やっぱり私は、
断然アキラの腕の中がいい。
「タカシお兄ちゃん……」
自分の気持ちがハッキリと分かると、気持ちを伝えるつもりでアキラの腕の中から振り返る。
「ごめんなさい……。やっぱり私……」
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