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11年越しの告白
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…………え?
それって、アキラの気持ちを聞き出す為……だよね?
そう思うのに、なぜか動揺せずにはいられない私。
「なんだよその顔。いま初めて知ったかのような顔して」
肩をすくめて困ったように笑うタカシお兄ちゃんは続けた。
「彰は知ってただろ?俺が昔っから遥ちゃんのを好きだった事」
「し、知ってたに決まってんだろ」
「だよな。だから遥ちゃんに近付こうとする俺も、他の男たちみたいに邪魔者扱いしてたんだろ」
「は?邪魔扱いなんてしてたか?」
「自覚無しか?もしそうなら笑えるね」
そう言うと顎に手をあててクスっと笑う。
「馬鹿馬鹿しい!
まさか、そんな話をするために『遥を貰う』なんて嘘のメッセージと寝顔の写真をよこしたのかよ。役員のくせに暇人か」
「嘘……じゃないといいなと思っているよ。俺は本気だからね」
そう言ってクスリと笑うとアキラの目が光る。
「まさか、本当に遥の事が好きなのか?気にってるとかそういう程度ではなくて」
「だから、さっきからそう言ってるじゃないか」
「……俺はてっきり……」
「嘘で彰にこんな事言えないよ。俺は平和主義者だからね。知ってるだろ?揉め事は嫌いなんだ。で、彰はどうなんだ?」
「俺は……」
アキラの言葉に、つい私は耳を大きくしてしまう。
でも、直後、耳を塞げばよかったと本気で後悔した。
「別に……あいつなんて」
そんなアキラの言葉に愕然とした。
やっぱりこれが現実。
ほんの少しだけでも夢見た自分が馬鹿だと認定された瞬間。
凄い勢いで谷底に落ちていく自分。
「ふーん、そう。じゃあ貰っていいんだな?」
その言葉に、ピクっと手が動くだけで何も答えないアキラ。
そんなアキラを見て肩を震わせて笑うタカシお兄ちゃん。
「何がおかしいんだよ!」
ブチ切れそうな顔をしてタカシお兄ちゃんを睨む。
「別に?ほんと、彰は昔から頑固だなぁと思って。
そんな恐い顔するくらいなら認めてしまえばいいのに」
「認める?何をだよ。昔っからだけど、その上から目線が気に食わない」
「別にいいけど?彰がいつまでもそんなんだと、本当にもう遠慮しないよ。
……立場上、小学校の時に遥ちゃんの縦笛を舐めた子や、遥ちゃんを襲おうとした奴らや、この前の証券会社の男達みたいに、俺は簡単には排除できないけど、いいの?」
その言葉を聞いた瞬間、
「えっ」
と声が出てしまった。
自分の出てしまった声に気付いて慌てて口を塞いだところで、もう時すでに遅く……、
目だけこちらを見たアキラの横顔は、ゆっくりと真正面を向いた。
その瞬間ハッとした顔になったと思うと、その隣のタカシお兄ちゃんは『あちゃー』と言うような顔をして目元を手で覆う。
そして私は金縛りあったように動けなくなった。
それって、アキラの気持ちを聞き出す為……だよね?
そう思うのに、なぜか動揺せずにはいられない私。
「なんだよその顔。いま初めて知ったかのような顔して」
肩をすくめて困ったように笑うタカシお兄ちゃんは続けた。
「彰は知ってただろ?俺が昔っから遥ちゃんのを好きだった事」
「し、知ってたに決まってんだろ」
「だよな。だから遥ちゃんに近付こうとする俺も、他の男たちみたいに邪魔者扱いしてたんだろ」
「は?邪魔扱いなんてしてたか?」
「自覚無しか?もしそうなら笑えるね」
そう言うと顎に手をあててクスっと笑う。
「馬鹿馬鹿しい!
まさか、そんな話をするために『遥を貰う』なんて嘘のメッセージと寝顔の写真をよこしたのかよ。役員のくせに暇人か」
「嘘……じゃないといいなと思っているよ。俺は本気だからね」
そう言ってクスリと笑うとアキラの目が光る。
「まさか、本当に遥の事が好きなのか?気にってるとかそういう程度ではなくて」
「だから、さっきからそう言ってるじゃないか」
「……俺はてっきり……」
「嘘で彰にこんな事言えないよ。俺は平和主義者だからね。知ってるだろ?揉め事は嫌いなんだ。で、彰はどうなんだ?」
「俺は……」
アキラの言葉に、つい私は耳を大きくしてしまう。
でも、直後、耳を塞げばよかったと本気で後悔した。
「別に……あいつなんて」
そんなアキラの言葉に愕然とした。
やっぱりこれが現実。
ほんの少しだけでも夢見た自分が馬鹿だと認定された瞬間。
凄い勢いで谷底に落ちていく自分。
「ふーん、そう。じゃあ貰っていいんだな?」
その言葉に、ピクっと手が動くだけで何も答えないアキラ。
そんなアキラを見て肩を震わせて笑うタカシお兄ちゃん。
「何がおかしいんだよ!」
ブチ切れそうな顔をしてタカシお兄ちゃんを睨む。
「別に?ほんと、彰は昔から頑固だなぁと思って。
そんな恐い顔するくらいなら認めてしまえばいいのに」
「認める?何をだよ。昔っからだけど、その上から目線が気に食わない」
「別にいいけど?彰がいつまでもそんなんだと、本当にもう遠慮しないよ。
……立場上、小学校の時に遥ちゃんの縦笛を舐めた子や、遥ちゃんを襲おうとした奴らや、この前の証券会社の男達みたいに、俺は簡単には排除できないけど、いいの?」
その言葉を聞いた瞬間、
「えっ」
と声が出てしまった。
自分の出てしまった声に気付いて慌てて口を塞いだところで、もう時すでに遅く……、
目だけこちらを見たアキラの横顔は、ゆっくりと真正面を向いた。
その瞬間ハッとした顔になったと思うと、その隣のタカシお兄ちゃんは『あちゃー』と言うような顔をして目元を手で覆う。
そして私は金縛りあったように動けなくなった。
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