77 / 337
分からない気持ち
3
しおりを挟む
そう呼ばれてエレベーターの中に視線を移すと、そこにいたのはタカシお兄ちゃん。
誰にも会いたくないと思った数秒後に、いきなり会ってしまう私はなんて運が悪いんだろう。
朝帰りに初恋の人にバッタリ会ってしまう確率って一体どれくらいなのよ!?
おかしいでしょ!?
しかも2連続なのよ??
「遥ちゃん、乗らないの?」
「あ、ごめんなさい」
頭を下げて、ずっと開けっ放しだった広いエレベーターに乗り込むと、タカシお兄ちゃんから一番離れた隅に立った。
絶対勘違いしてるよね。
アキラの彼女かセフレだって。
誤解を解きたいけど、『誤解されてたからってなんなの?』って言う自分がいる。
でも初恋のタカシお兄ちゃんには誤解されたくないような……、でも当の本人はなんとも思ってないんだろうし。
「ずいぶん遠いね。俺、何か嫌われる事したかな?」
「い、いいえ。そんなんじゃないです」
「そう、よかった。いきなりそんな端に立つから、俺何かしたのかと思ったよ」
ただ端に立っただけなのに、そんな顔を向けられると罪悪感が顔を出してしまう。
「そんな⋯⋯何かしたなんて」
前回もそうだったけど、今日のタカシお兄ちゃんも見入ってしまう程にカッコイイ。
黒に近いグレーのスーツが大人っぽくってドキドキする。
こんな大人の魅力と色気を濃縮したようなタカシお兄ちゃんと、こんな小さな空間に2人でいるなんて、いい意味で息が詰まりそうだ。
「今日は彰と一緒じゃないんだね?」
やっぱセフレだと思われてるんだろうな。
「はい」
「これから学校?」
「そうです」
あれ?
そう言えば、なんでタカシお兄ちゃんは上から降りて来たんだろう?同じマンションに住んでるのかな?
あれ?彰の階より上って最上階じゃなかったっけ!?
「ねぇ、遥ちゃんって……彰と付き合ってるの?」
「そ、そんなわけないです!絶対ないです!」
思わず思いっきり否定してから気付いた。
これだとタカシお兄ちゃんから見たら、彼女でもないのにしょっちゅう泊りに来てる、ただの尻軽セフレにしか見えない、と言う事に。
言ってしまった事に対する言い訳を必死で探すも、そんな言い訳なんて見当たらなく、自分の言った事に後悔を噛み締める。
でもタカシお兄ちゃんは、軽蔑する様子なんて微塵も感じさせない様子でこの狭い空間でじりじりと距離を詰めて来た。
「そう。じゃあ、彰に遠慮しなくていいんだね」
そんな眩しいタカシお兄ちゃんのから逃げるように後ずさると、エレベーターの壁に思いっきり背中が当たった。
な、何?
めちゃくちゃ近いんだけど!?
やっと足を止めたタカシお兄ちゃんは目と鼻の先。
見上げると、首元に手が伸びて来て心臓が跳ねた。
「タカシ……お兄ちゃん?」
首元の髪を少しすくってから、何かを確かめるようにそっと首元に触れられると、キスマークが気になってビクッと震えてしまった。
誰にも会いたくないと思った数秒後に、いきなり会ってしまう私はなんて運が悪いんだろう。
朝帰りに初恋の人にバッタリ会ってしまう確率って一体どれくらいなのよ!?
おかしいでしょ!?
しかも2連続なのよ??
「遥ちゃん、乗らないの?」
「あ、ごめんなさい」
頭を下げて、ずっと開けっ放しだった広いエレベーターに乗り込むと、タカシお兄ちゃんから一番離れた隅に立った。
絶対勘違いしてるよね。
アキラの彼女かセフレだって。
誤解を解きたいけど、『誤解されてたからってなんなの?』って言う自分がいる。
でも初恋のタカシお兄ちゃんには誤解されたくないような……、でも当の本人はなんとも思ってないんだろうし。
「ずいぶん遠いね。俺、何か嫌われる事したかな?」
「い、いいえ。そんなんじゃないです」
「そう、よかった。いきなりそんな端に立つから、俺何かしたのかと思ったよ」
ただ端に立っただけなのに、そんな顔を向けられると罪悪感が顔を出してしまう。
「そんな⋯⋯何かしたなんて」
前回もそうだったけど、今日のタカシお兄ちゃんも見入ってしまう程にカッコイイ。
黒に近いグレーのスーツが大人っぽくってドキドキする。
こんな大人の魅力と色気を濃縮したようなタカシお兄ちゃんと、こんな小さな空間に2人でいるなんて、いい意味で息が詰まりそうだ。
「今日は彰と一緒じゃないんだね?」
やっぱセフレだと思われてるんだろうな。
「はい」
「これから学校?」
「そうです」
あれ?
そう言えば、なんでタカシお兄ちゃんは上から降りて来たんだろう?同じマンションに住んでるのかな?
あれ?彰の階より上って最上階じゃなかったっけ!?
「ねぇ、遥ちゃんって……彰と付き合ってるの?」
「そ、そんなわけないです!絶対ないです!」
思わず思いっきり否定してから気付いた。
これだとタカシお兄ちゃんから見たら、彼女でもないのにしょっちゅう泊りに来てる、ただの尻軽セフレにしか見えない、と言う事に。
言ってしまった事に対する言い訳を必死で探すも、そんな言い訳なんて見当たらなく、自分の言った事に後悔を噛み締める。
でもタカシお兄ちゃんは、軽蔑する様子なんて微塵も感じさせない様子でこの狭い空間でじりじりと距離を詰めて来た。
「そう。じゃあ、彰に遠慮しなくていいんだね」
そんな眩しいタカシお兄ちゃんのから逃げるように後ずさると、エレベーターの壁に思いっきり背中が当たった。
な、何?
めちゃくちゃ近いんだけど!?
やっと足を止めたタカシお兄ちゃんは目と鼻の先。
見上げると、首元に手が伸びて来て心臓が跳ねた。
「タカシ……お兄ちゃん?」
首元の髪を少しすくってから、何かを確かめるようにそっと首元に触れられると、キスマークが気になってビクッと震えてしまった。
0
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
義兄の執愛
真木
恋愛
陽花は姉の結婚と引き換えに、義兄に囲われることになる。
教え込むように執拗に抱き、甘く愛をささやく義兄に、陽花の心は砕けていき……。
悪の華のような義兄×中性的な義妹の歪んだ愛。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。
イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。
きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。
そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……?
※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。
※他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる