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遥の過去

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「ひっ!い、いやっ!」
「白藤さんがさー、連絡先教えないからいけないんだよ?普通に仲良くなりたかったのにさぁ。俺悲しくて泣いちゃうわ」
そう言うとクスリと笑ってる胸を揉みしだく。

「やめてっ」
もう嫌だ⋯⋯
元カレも、さっき別れたばかりの彼もそう。
なんで、いつもいつも男ってやつは⋯⋯

「やめてって、言ってるでしょ!!」
「いでで!!」

男が痛みで叫んだ直後、鈍い音と共にこの男は声にならない声をあげた。

「はっ⋯⋯⋯⋯がっ⋯⋯」

私は股間を抑えて小さくなってるそいつの前まで行って、思いっきり見下ろしてから捨て台詞ゼリフを吐いた。

「馬鹿はお前だろ!」

そいつの横に落ちている定期を拾ってパッパッと砂埃すなぼこりを払うと、さらにうずくまったそいつの横を通って川辺の階段を上がる。


「はぁー」
夕陽色に染まる空を見上げて呟いた。

「なんで男はあんなのばっかなんだろう⋯⋯朝の電車も痴漢ばっかだし」

でも、何故かここに来た時よりスッキリした気持ちになっていた。

それはきっと、今までのうっ憤を多少なりとも晴らせたからかもしれない。





翌日ーー

「ひー。バイトに遅刻しちゃう」

最近バイトを入れ過ぎているせいで成績がだだ下がりしていた。
そのせいで職員室に呼び出されてしまった私は、大慌てで家路につく。


なのにーー

近所の廃ビル続きの道で、ガラが悪いと有名な高校の制服を着た男達が目の前に立ち塞がった。

「こんにちはー」

にこやかに声を掛けられ、よくあるナンパだと思った。
だからガン無視で横を通り抜けようとしたのに、ここを通さないとばかりに、強い力で肩を掴まれた。

あーホントやだやだ。
昨日といい、この辺こんな奴らばっか。
早くこんなチンピラまがいがいない場所に引っ越したい。

「離して!」
思いっきり睨んで、肩に乗せられた手を払い除ける。
こういうヤツには弱い所を見せたら負けだ。

「ヒュー、強気な女とかいいじゃん。しかもとんでもない美少女とかマジ泣かしてぇ」
「やべー、やべー、もう俺勃ってきたわ」
「本当にいいの?やっちまって」

「は⋯⋯?」
何か様子がおかしい。
普通のナンパじゃ、ない?

と思った時には、私は数名の男たちに囲まれていた。


「まさか、あの白藤遥がこんな可愛くなるなんてな」
「前に言っただろ?洗えば綺麗になるんじゃないかって」

「言ったっけ?」
「言ったけど、漫画の読みすぎだろって、俺の話を鼻から否定してたけどな」

「全然覚えてねぇわ。お前の目利きすげぇな。
こんなに綺麗なら、もっと早くに遊んでやったのに、な」
なんでこんな事になってるのか訳分からない。
目の前の男たちは好き勝手話していて、隙を見計らっていると肩を抱かれた。
背後から声がする。

「いいじゃん、今からたっぷり遊んでやれば」
その声に反応してゆっくり振り返ると、真後ろには昨日と打ちのめしたやつが立っていた。

「昨日はよくもやってくれたな」
見下ろし言われるそこ言葉で頭に『報復』という文字が現れる。

は?なんで?
最初にいじめてきたのはあんたなのに、なんであんたが私に報復するのよ。
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