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デリート大作戦

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何部屋もあるのに二部屋目で見つけれたとか、絶対に運がいい。

そっとノートパソコンを机に載せる。

「危なかったぁ。下手すると完全に見落とすところだったな」

こんな極薄のパソコンが本棚に立てかけられてるなんて、想像もしてなかった。
一歩間違えると永遠に見つからなかったかも知れなかったと思うとゾッとした。


電源ボタンを押すと軽快過ぎる起動音が部屋に鳴り響いて、私は飛び上がってしまう。

「お、脅かさないでよねー」

バクバクと、激しく動悸する心臓を落ち着かせるように大きく深呼吸をして、ポケットからある物を出した。

「さ・て・と、どれがビンゴかなー」
私はあらかじめ調べてメモしていた、パスワード候補の紙をパソコンの横に置く。

そして画面に目を戻すと……


「えっ⋯⋯?」




そこには、パスワードを入力する画面ではなく、いきなりデスクトップ画面が表示されていた。

なんと、1番の難所なんしょになると思っていたパスワード解読は一切必要無く、あっさりクリア出来てしまった。

「ちょっ!あまりにも上手く行きすぎて、なんだか怖いんだけど」

本当に自分にツキが回ってきているかもしれない。
そんな踊り出しそうな気分でデスクトップ画面を確認する。
そこには、きっちりとフォルダー分けがされたフォルダーがズラリと並んでいた。

「ふーん、キチンとしている」

ザッとフォルダー名を見る限り、デスクトップには論文やレポートとか、そういったものしか無さそうだ。

下に並ぶアイコンにマウスを合わせると、すぐに『写真』と書いてある丸いアイコンがあって、それをクリックしてみる。

すると、画面一面に英数字のみの画像名がズラリと並んだ。

試しに適当にクリックをすると、少しだけ幼く見える、多分数年前くらいのアキラの写真出てきた。

海外の卒業式なんだろうか、頭に黒く四角い帽子に黒のガウンみたいなものを着て、多国籍の人達と肩を組んで一緒に写っているものだった。

高校は海外だったのかな?

「それにしても、無愛想。
卒業式の日くらいニコーって満面の笑みで笑いなよ」
と画面に向かって文句を言いながら次々と画像を表示させて行く。

でも海外の風景や、さっき見たような卒業式のような物ばかり出て来てしまう。

このままだとらちが明かない。


その時、暫く忘れていたシャワー音確認を怠っていた事を思い出した。

手は止めずにドア側に耳だけ意識を向ける。


「こんなの、一つ一つ見てたらアキラが出てきちゃう……の…………に」

あれ、シャワー音が……


聞こえな
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