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デリート大作戦

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計画けいかくはこうだった。

寝室に連れて行き、すぐに抱こうとするアキラに
『シャワーくらいして来て欲しいなっ』
と、悩殺級の上目遣いでお願いをする。

するときっと『仕方ねぇな』と言って馬鹿な顔をしてシャワーをしに行く。
その隙にパソコンとスマホのデータを消し、アキラがシャワーから出た頃にはデータも無くなっていて私もいない事に気付く。

アキラは悔しさのあまりその場に崩れ落ち、床を叩いて私をおとしいれようとした事を思いっきり後悔する。

という完璧な計画だったのに……。

くぅーー!!
せっかくここまで来たのに!!


こうなったら、アキラが寝るまで待つしかないんだろうけど。
でも途中で起きてきたら絶対ヤバい。
シャワーだと確実に10分、15分は安全時間になる感じだったのに。


計画が狂った事に頭を抱えていると、真面目な顔をして私の顔をガン見してくる。

「⋯⋯なに?」

その目は何?
いつも何考えてるかサッパリ分からない。

あんまり見られると、酔い潰れてないのがバレそうで怖いから見ないでよ。

「頭痛いの?」

え?その目は心配してくれている目だったの?なんて分かりにくい人。
と言うか私の体の心配なんてするの?明日は大雪確定ね。

「うっ⋯⋯ううん。大丈夫」
「じゃあ、お前一人でも大丈夫か?」

なんでそんな事聞いてく|るんだろう?
と思いながら「うん」と頷《うなず》く。

「じゃ、俺シャワーしてくるから。重いお前のせいで汗もかいたし」
そう言ってシャツの襟ぐりをグッと引っ張ってパタパタする。

「えっ」
その発言に思わず驚きの声が漏れた。

「どうした?行かない方がいいか?」
「ぜ⋯⋯全然大丈夫。フラフラするけど全然一人で大丈夫だから」

ヤバっ



「横になりたかったら寝室使ってもいいから」
「ありがとう。い⋯⋯行ってらっしゃい。ゆっくり入って来て」

あと少しでアキラとの関係も終わり。
そう思うと、嬉しさが込み上げてくる。

ついニヤけてしまいそうな口元を手で隠して、リビングを出ていくアキラの背中を見届ける。

ねぇ、こんなに上手くいっていいの?
神様は私を見放してないんだわ。

1時間後には地団駄じだんだを踏むアキラがいると思うだけでたまらない。

「ふ、ふふ……」
笑いが止まらない私の耳にシャワー音が飛び込んできた。

それを合図に⋯⋯
よし、捜索開始だ!



さっきから見てたけど、探さなくてもこのリビングにはパソコンが無いことは一目瞭然。

ミニマリストじゃないかと思うくらい物が少なく、テーブルやソファやラグくらいしか存在しないこの部屋をすぐに出る。


「勝手に失礼しまーす」

順に行こうと、リビングのすぐ隣の部屋のドアを開けると、パッと電気が勝手に付いて奥行のある細長い部屋が現れた。

左右にズラリと並ぶ服。
どれも高級感だけで目がやられてしまいそうだ。
探さずともここに無い事は明らかで、すぐにこの部屋も後にした。

次は向かい側の部屋のドアを開けようと手を伸ばすと、他の部屋とドアからして雰囲気が違うことに気付いた。
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