34 / 337
デリート大作戦
2
しおりを挟む
計画はこうだった。
寝室に連れて行き、すぐに抱こうとするアキラに
『シャワーくらいして来て欲しいなっ』
と、悩殺級の上目遣いでお願いをする。
するときっと『仕方ねぇな』と言って馬鹿な顔をしてシャワーをしに行く。
その隙にパソコンとスマホのデータを消し、アキラがシャワーから出た頃にはデータも無くなっていて私もいない事に気付く。
アキラは悔しさのあまりその場に崩れ落ち、床を叩いて私を陥れようとした事を思いっきり後悔する。
という完璧な計画だったのに……。
くぅーー!!
せっかくここまで来たのに!!
こうなったら、アキラが寝るまで待つしかないんだろうけど。
でも途中で起きてきたら絶対ヤバい。
シャワーだと確実に10分、15分は安全時間になる感じだったのに。
計画が狂った事に頭を抱えていると、真面目な顔をして私の顔をガン見してくる。
「⋯⋯なに?」
その目は何?
いつも何考えてるかサッパリ分からない。
あんまり見られると、酔い潰れてないのがバレそうで怖いから見ないでよ。
「頭痛いの?」
え?その目は心配してくれている目だったの?なんて分かりにくい人。
と言うか私の体の心配なんてするの?明日は大雪確定ね。
「うっ⋯⋯ううん。大丈夫」
「じゃあ、お前一人でも大丈夫か?」
なんでそんな事聞いてく|るんだろう?
と思いながら「うん」と頷《うなず》く。
「じゃ、俺シャワーしてくるから。重いお前のせいで汗もかいたし」
そう言ってシャツの襟ぐりをグッと引っ張ってパタパタする。
「えっ」
その発言に思わず驚きの声が漏れた。
「どうした?行かない方がいいか?」
「ぜ⋯⋯全然大丈夫。フラフラするけど全然一人で大丈夫だから」
ヤバっ
「横になりたかったら寝室使ってもいいから」
「ありがとう。い⋯⋯行ってらっしゃい。ゆっくり入って来て」
あと少しでアキラとの関係も終わり。
そう思うと、嬉しさが込み上げてくる。
ついニヤけてしまいそうな口元を手で隠して、リビングを出ていくアキラの背中を見届ける。
ねぇ、こんなに上手くいっていいの?
神様は私を見放してないんだわ。
1時間後には地団駄を踏むアキラがいると思うだけで堪らない。
「ふ、ふふ……」
笑いが止まらない私の耳にシャワー音が飛び込んできた。
それを合図に⋯⋯
よし、捜索開始だ!
さっきから見てたけど、探さなくてもこのリビングにはパソコンが無いことは一目瞭然。
ミニマリストじゃないかと思うくらい物が少なく、テーブルやソファやラグくらいしか存在しないこの部屋をすぐに出る。
「勝手に失礼しまーす」
順に行こうと、リビングのすぐ隣の部屋のドアを開けると、パッと電気が勝手に付いて奥行のある細長い部屋が現れた。
左右にズラリと並ぶ服。
どれも高級感だけで目がやられてしまいそうだ。
探さずともここに無い事は明らかで、すぐにこの部屋も後にした。
次は向かい側の部屋のドアを開けようと手を伸ばすと、他の部屋とドアからして雰囲気が違うことに気付いた。
寝室に連れて行き、すぐに抱こうとするアキラに
『シャワーくらいして来て欲しいなっ』
と、悩殺級の上目遣いでお願いをする。
するときっと『仕方ねぇな』と言って馬鹿な顔をしてシャワーをしに行く。
その隙にパソコンとスマホのデータを消し、アキラがシャワーから出た頃にはデータも無くなっていて私もいない事に気付く。
アキラは悔しさのあまりその場に崩れ落ち、床を叩いて私を陥れようとした事を思いっきり後悔する。
という完璧な計画だったのに……。
くぅーー!!
せっかくここまで来たのに!!
こうなったら、アキラが寝るまで待つしかないんだろうけど。
でも途中で起きてきたら絶対ヤバい。
シャワーだと確実に10分、15分は安全時間になる感じだったのに。
計画が狂った事に頭を抱えていると、真面目な顔をして私の顔をガン見してくる。
「⋯⋯なに?」
その目は何?
いつも何考えてるかサッパリ分からない。
あんまり見られると、酔い潰れてないのがバレそうで怖いから見ないでよ。
「頭痛いの?」
え?その目は心配してくれている目だったの?なんて分かりにくい人。
と言うか私の体の心配なんてするの?明日は大雪確定ね。
「うっ⋯⋯ううん。大丈夫」
「じゃあ、お前一人でも大丈夫か?」
なんでそんな事聞いてく|るんだろう?
と思いながら「うん」と頷《うなず》く。
「じゃ、俺シャワーしてくるから。重いお前のせいで汗もかいたし」
そう言ってシャツの襟ぐりをグッと引っ張ってパタパタする。
「えっ」
その発言に思わず驚きの声が漏れた。
「どうした?行かない方がいいか?」
「ぜ⋯⋯全然大丈夫。フラフラするけど全然一人で大丈夫だから」
ヤバっ
「横になりたかったら寝室使ってもいいから」
「ありがとう。い⋯⋯行ってらっしゃい。ゆっくり入って来て」
あと少しでアキラとの関係も終わり。
そう思うと、嬉しさが込み上げてくる。
ついニヤけてしまいそうな口元を手で隠して、リビングを出ていくアキラの背中を見届ける。
ねぇ、こんなに上手くいっていいの?
神様は私を見放してないんだわ。
1時間後には地団駄を踏むアキラがいると思うだけで堪らない。
「ふ、ふふ……」
笑いが止まらない私の耳にシャワー音が飛び込んできた。
それを合図に⋯⋯
よし、捜索開始だ!
さっきから見てたけど、探さなくてもこのリビングにはパソコンが無いことは一目瞭然。
ミニマリストじゃないかと思うくらい物が少なく、テーブルやソファやラグくらいしか存在しないこの部屋をすぐに出る。
「勝手に失礼しまーす」
順に行こうと、リビングのすぐ隣の部屋のドアを開けると、パッと電気が勝手に付いて奥行のある細長い部屋が現れた。
左右にズラリと並ぶ服。
どれも高級感だけで目がやられてしまいそうだ。
探さずともここに無い事は明らかで、すぐにこの部屋も後にした。
次は向かい側の部屋のドアを開けようと手を伸ばすと、他の部屋とドアからして雰囲気が違うことに気付いた。
0
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
義兄の執愛
真木
恋愛
陽花は姉の結婚と引き換えに、義兄に囲われることになる。
教え込むように執拗に抱き、甘く愛をささやく義兄に、陽花の心は砕けていき……。
悪の華のような義兄×中性的な義妹の歪んだ愛。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる