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お仕置

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「おい!タカニィ!いいから早く返せ!」

「ふふっ、勝手に入って悪かったよ、アキラ。次からは気をつけるよ」
と言うと、再び大人の色気をはらんだ視線が飛んで来て、視線がぶつかる。
ドキドキしてしまって直視出来ない私はパッと目を逸らす。

「それにしても、最近ずっと女っ気がなかったのに意外だね。どんな心境の変化?⋯⋯まさか、昨日の話のせいじゃないだろうね?」

ん?昨日の話って?
と思っていると、左肩にズンッと重みが走る。

お、重っ!!
私を肘置きとでも思っているの!?
そんなの犬以下じゃん。

「んなわけねぇだろ?昨日の話とは関係ない。それと気を付けるとかそんなの要らねぇから今すぐ鍵を返せ」

いつになったら肘置き役が終わるの!?

と思っているとガウン越しの背中にアキラの熱を感じた。
急にそんな所に意識が行ってしまうとドキドキしまう自分が情けなくて嫌になった。

背中側には上半身裸で酷い色気を垂れ流しながら密着するアキラ。

目の前にはブランドスーツで大人の色気をかもし出すタカニィという人⋯⋯。

助けて……。
こんなサンドイッチ、心臓が持たないです。


男はただ憎い。
そしてイケメンは⋯⋯憎いし苦手でもある。
だから、ただの男の方が100倍マシ。


苦手だと思ってしまうのは、きっと私の意思ではどうにもならない、女のサガの部分なんだと思う。

特に好みのイケメンは意識しちゃうし、勝手に頬も赤くなっちゃうし、そんなの普段の自分じゃなくなりそうで本当に困る。

でも普段そんなドストライクなイケメンと関わる事なんて、ほぼ無いから良かったのに⋯⋯。

なのに、何?
この挟み撃ちは!?



「悪いね。でも鍵は返せないんだよ」
「なんでだよ」

「別に、俺だってこんな事したくないんだけどね。大学卒業するまでは俺が見張り役を任されているから仕方ないんだよ」

「見張りなんていらねーだろ。あのクソ親父おやじ、俺をいくつだと思ってんだ?」

とうさんはアキラの素質を買ってるんだよ。
東十条ホールディングスを引き継ぐかもしれない立場で変な事されると困るからね」

それを聞いて舌打ちをするアキラ。
「変な事ってなんだよ。俺ってそんなに信用なんねぇか?
普段出たくもねぇパーティとか集まりとかの時はちゃんといい顔してるだろうが!」
「ふふっ、そうだね。時々、素が出てるけど」


タカニィ、タカニィ⋯⋯

おかしいなぁ、
やっぱりどこかで聞いた覚えがあるんだけど⋯⋯。

後少しの所で思い出せない。

『遥ちゃん……そんな悲しい顔をしていたら、僕、放っておけないな』


「あっ、あーーーーーーーーーーー!!思い出した!!」
思わず叫んでしまった。

「どうしたの?遥ちゃん」
「なんだよ。うるせぇな」


だって、目の前にいるタカニィは

アキラのお兄ちゃんで⋯⋯




私の初恋の人だったから。
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