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お仕置

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なせか嫌味交じりの言葉が口から飛び出して、ため息まで出た。

正体不明のモヤモヤとした気持ちがじわりじわりと湧き上がる。

なんかイラつくし気にくわないのは何故?




高めの天井でくるくると回るシーリングファンをぼんやりと眺めていると、昨夜の出来事がフラッシュバックした。

きっとセックス中に何度かあの天井が目に入っていたからだろう。

男なのに酷い色気。
程いい筋肉に、艶めかしい目。

「って、何思い出してんの!?思い出したくないのに」

無かった事に出来たらどんなにいいのだろう。
これで本当に消してくれるのよね?
大丈夫だよね?

でも、あのアキラがすんなり消してくれる気が全くしない。
この予感が外れてくれたらいいんだけど。

「はぁー。その辺にアキラのスマホが忘れられてて、パッとあの写真を消せたらなぁ⋯⋯」
そしたらこんな不安を抱えなくてもいいのに。


深いため息を付いて寝返ると、枕元に無造作に置かれた黒いスマホが目に飛び込んで来た。

もちろん私のギラギラ光るスマホではない。

「⋯⋯え、マジ?」

またとないチャンスに鉛のような体を勢いよく起こした私は、正座をしてジッと見る。

メチャクチャシンプルでカバーさえ付けていない、ただの黒のリンゴさんスマホ。

こんなの絶対アキラのでしょ?
っていうかアキラの家で他の人のスマホがあったらおかしいでしょ。

ゴクリと唾を飲み込んでから吸い込まれるように手を伸ばした。



その時、背中側から声がして振り返った。

「俺のスマホに何か用?」


そこにはシャワーでも浴びたのか、髪から水がしたたる半裸のアキラがいた。

そんなアキラの手には、何故か数秒前に正座をして眺めていた黒いスマホが。

「あっ、あれ?」
視線をさっきの場所に戻すと、そこにあったはずのスマホはもう無い。

内心ショックを受けた私は、誤魔化すように苦笑いする。
「あれ?い、いたんだ⋯⋯」

おかしい。
声をかけられるまで全く気付かなかった。

お前は忍者か暗殺者か?



それにしても⋯⋯
水もしたたるいい男、とはよく言ったもので

それはそれは目の前のアキラは酷い色気を放っていて、目のやりどころなんて無い私は一体何処いったいどこを見たらいいのでしょうか?誰か教えてください!

大事なことなので、長文を息継ぎもせずに言い切ってみました!



はぁー。
まだ朝なのに、なんでそんな無駄に色気放ってんの?

なんの嫌がらせ?
私がイケメンは苦手だと知っての事なの?ねぇ?

「俺がいたら、いけなかった?」
アキラはニヤリとしてスマホをチラつかせた。


「別に」
スマホを掴めずに手持ち無沙汰になった手を、何も無かったようにそっと枕の上に乗せる。

「ふぅん」
嘘が苦手な私は、覗き込むアキラから逃げるように目を遠くに泳がした。
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