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俺の犬になれ

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さっきまで唱えていた呪文は、全く効果が無かったことが証明されたのも同然。


このままエレベーターで下まで降りて、逃げてしまいたい。
そんな事を一瞬思ったけど、今から握力テストでもするのかって位にバックの取っ手を握りしめてエレベーターから降りた。

するとーー



そんな私にすぐに気付いたアキラは、
サラサラの前髪を揺らして切れ長の目をこちらに向けた。

視線がぶつかった瞬間、心がザワつく。
いつもそう。

きっとそれは、この男が大っ嫌いだから。


アキラは白シャツに黒のパンツで、
シャツのポケットには超一流ブランドの名がさりげなく刺繍されているような、品があってとてもシンプルな服を着ていた。


育ちの違いなんだろう。

口はめちゃくちゃ悪いけど、こんなシンプルなデザインを空気のようにまとって、異様な程に品をかもし出すのは私の周りではアキラくらいだろう。

きっと、普通の人が着たら似合わなかったり、無理矢理感が出て服だけ浮くんだろうけど。


品だけじゃなく、端正過ぎる顔面のせいもあるかもしれない。
高い鼻、綺麗な切れ長の二重、肌だって綺麗だし、180cmは絶対ありそうな程の長身に、スタイルだって良い。


でも、これだけは断言させてほしい!
皆が声を揃えて言う、イケメン過ぎるのに帰国子女で首席入学だとか、スポーツ万能なスーパー御曹司だとか……

私はそんなの、どうでもいい!


イケメンだろうが、御曹司だろうがどんなにハイスペック男子でも、私は幼稚舎の時からずーーーーっと、アキラが世界一嫌いな事には一生変わりはない!!



「なんの用?」

あんな写真を送っておいて、涼しい顔でそんな馬鹿みたいな質問をしてくるから、恐れが引いて一瞬で怒りに火が付いた。

「なんの用?じゃないわよ!!なんなの!あの写真!!」

上層階の廊下で、私が鼓膜が破れるほどの大声で怒鳴どなると、アキラは眉を寄せてあからさまに迷惑そうな顔を向けた。

「おい。今、何時だと思ってんだよ」

呆れて頭をくアキラは、「とりあえず中に入れ」と言って重そうな玄関ドアを開けた。
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