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魔王様の料理人
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目が覚めるとそこは自室ではなく……魔王様の部屋のベットの上だった。
「起きたか?……マナと『黒薔薇姫』どちらだ?」
あたしは頭の中を整理する。
「『黒薔薇姫』は普段は出てこないみたい。だからあたしはマナのまま……みたい」
魔王様はどこかホッとしたような顔をした。
「あいつは苦手だ。体はどこも悪くないか?」
心配そうに尋ねる魔王様。ガバっと起き上がるあたし。
「大丈夫です!すごーく元気。あれからどうなったの?」
「勇者は人の世界へ返し、聖剣はおまえの言う通り海へ捨ててきた」
正確には『黒薔薇姫』であるが……。
「あの武器はいったい……?」
「なんだか毎日使っていたら、やけに魔力が宿ってしまってて気にはなっていたんだけど……こんな使い道があったとは!って感じなの」
なるほどそういうわけかと魔王様が言う。どっかのホームセンターで買ったであろうフライパンが聖剣に勝つなんてことは歴史上初かも。
「フライパン新しいのほしいです」
「もう買ってある」
用意早いなー。しかし嬉しくなって、あたしは笑って言った。
「フフッ。じゃあ、何か作ります!なにが食べたいですか?」
「おい、無理するな!倒れたんだぞ?」
やけに心配性になっている。
「大丈夫よ。それにあたしもお腹ペコペコなんだもの」
やれやれと魔王様は嘆息した。
「魔王様は何を食べます?」
「待て、先に礼を言わせろ。来てくれてありがとう。……あと、魔王様と呼ぶな。アル……でいい」
あたしはキョトンとした。
「それって……」
「おまえが魔界に残ると言ったときから、言おうとは思っていたんだ。だが……」
真っ直ぐ見れないようで顔が赤い。
「つまりだ!マナの望む形、関係を前向きに考えていこうと思う!」
あたしはヤッターと両手をあげる。
「これからよろしくお願いします。あたしもアルって呼んでみたかったのよ」
微笑むあたしに照れモードの魔王様はさらに赤い顔をしていたのだった。
それから数日後、あたしは包丁を握り、たたたんっとまな板の上の玉ねぎを刻んでいた。
食堂は賑わっている。ルドルフが横から言う。
「その包丁もまさか……魔力こもってるんじゃないだろうね?」
あたしはどうかしら?と笑ってみせるとルドルフが青ざめている。『黒薔薇姫』があたしの中に眠っていると知ってから……やけに警戒している。
「あ!そろそろアルの分を作ろっと!」
アル…魔王様のお昼ご飯の分を作りだす。
「『黒薔薇姫』がご飯作ってくれてるなんて他の魔族たちは知らないだろうね。知らないほうがいいかも……」
なにやらブツブツ言ってるルドルフ。
「さー!今日も美味しいもの作って食べるわよー!」
アルとも少しずつ距離が近づいてきているしとニンマリ笑う。『黒薔薇姫』は本当は魔王様のことを小さい頃から好きだった。だから助けたかったというのは言わないでおく。それは彼女も望んでいない。なんとなくわかる。『マナ』として純粋にアルの傍にいたいことが。
その願いはあたしも同じ思いだ。ずっと傍にいて、美味しい物を作って幸せにしてあげたい。
だから今日も作る!美味しい料理を!
「起きたか?……マナと『黒薔薇姫』どちらだ?」
あたしは頭の中を整理する。
「『黒薔薇姫』は普段は出てこないみたい。だからあたしはマナのまま……みたい」
魔王様はどこかホッとしたような顔をした。
「あいつは苦手だ。体はどこも悪くないか?」
心配そうに尋ねる魔王様。ガバっと起き上がるあたし。
「大丈夫です!すごーく元気。あれからどうなったの?」
「勇者は人の世界へ返し、聖剣はおまえの言う通り海へ捨ててきた」
正確には『黒薔薇姫』であるが……。
「あの武器はいったい……?」
「なんだか毎日使っていたら、やけに魔力が宿ってしまってて気にはなっていたんだけど……こんな使い道があったとは!って感じなの」
なるほどそういうわけかと魔王様が言う。どっかのホームセンターで買ったであろうフライパンが聖剣に勝つなんてことは歴史上初かも。
「フライパン新しいのほしいです」
「もう買ってある」
用意早いなー。しかし嬉しくなって、あたしは笑って言った。
「フフッ。じゃあ、何か作ります!なにが食べたいですか?」
「おい、無理するな!倒れたんだぞ?」
やけに心配性になっている。
「大丈夫よ。それにあたしもお腹ペコペコなんだもの」
やれやれと魔王様は嘆息した。
「魔王様は何を食べます?」
「待て、先に礼を言わせろ。来てくれてありがとう。……あと、魔王様と呼ぶな。アル……でいい」
あたしはキョトンとした。
「それって……」
「おまえが魔界に残ると言ったときから、言おうとは思っていたんだ。だが……」
真っ直ぐ見れないようで顔が赤い。
「つまりだ!マナの望む形、関係を前向きに考えていこうと思う!」
あたしはヤッターと両手をあげる。
「これからよろしくお願いします。あたしもアルって呼んでみたかったのよ」
微笑むあたしに照れモードの魔王様はさらに赤い顔をしていたのだった。
それから数日後、あたしは包丁を握り、たたたんっとまな板の上の玉ねぎを刻んでいた。
食堂は賑わっている。ルドルフが横から言う。
「その包丁もまさか……魔力こもってるんじゃないだろうね?」
あたしはどうかしら?と笑ってみせるとルドルフが青ざめている。『黒薔薇姫』があたしの中に眠っていると知ってから……やけに警戒している。
「あ!そろそろアルの分を作ろっと!」
アル…魔王様のお昼ご飯の分を作りだす。
「『黒薔薇姫』がご飯作ってくれてるなんて他の魔族たちは知らないだろうね。知らないほうがいいかも……」
なにやらブツブツ言ってるルドルフ。
「さー!今日も美味しいもの作って食べるわよー!」
アルとも少しずつ距離が近づいてきているしとニンマリ笑う。『黒薔薇姫』は本当は魔王様のことを小さい頃から好きだった。だから助けたかったというのは言わないでおく。それは彼女も望んでいない。なんとなくわかる。『マナ』として純粋にアルの傍にいたいことが。
その願いはあたしも同じ思いだ。ずっと傍にいて、美味しい物を作って幸せにしてあげたい。
だから今日も作る!美味しい料理を!
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