291 / 319
賢者VS天才発明家
しおりを挟む
転移装置の組み立てが始まった。
「さすが天才発明家と自称するだけある」
「フォスター家の双子、恐るべし」
知識の塔の人達が細かい部品を見て、感心している。この部品を現地に持っていってはめ込むらしい……と、私も構造がよくわからないけど、そう聞いた。
「待て!そのアレンジはなんだねっ!?」
赤、青、黄色……信号の色?という派手な配色の服を着た賢者ブリジットがトトとテテを止める。
「アレンジとか言わないでほしいのだー」
「こっちのほうが座標地点を正確に計測できるのだ」
ぷるぷると震える賢者ブリジット。
「なっ、なにを改造しているーっ!?先祖代々、伝わってきた由緒正しき図面なのに!?」
はぁ?と双子ちゃんが、両手を広げてみせる。
「古きものに固執するのは良き時と悪き時があるのだ」
「賢者ブリジット、老いたのだー」
なんだとーっ!と怒り出す。見ておれ!と部品の組み立てを素早くしていく。おおーっ!と拍手する周囲の人達にブリジットはフフンと笑う。
トトとテテも負けてはいない。クルクルクルと工具を回して、ビシッとブリジットに宣戦布告。細かい部品をキチッと負けじと素早く嵌め込んだ。おおおーっ!と周囲がまた拍手。
「トトさんとテテさんも知識の塔にくればいいのに……」
そうスタッフの1人が言うと、他の人もそうだそうだと頷く。
「一緒に切磋琢磨しましょうよ!」
「お二人なら、賢者ブリジットの相手もお手の物って感じがしますしね」
「我々の良い刺激にもなる!」
トトとテテがニヤッとした。
「賢者ブリジットの座を我らがとってしまうのだ」
「このっ!たわけ!そんなことができるとおもうのかいっ!」
「ためしてみるのだ?」
賢者ブリジットが双子ちゃんの自信を見て、ぷるぷる震えた。
「ほぅ?本気で賢者を怒らせたな!」
私ははぁ……と溜息をついた。
「賢者ブリジット、大人げないわ。エスマブル学園の出身者なら、誰もが憧れる知識の塔。私も憧れていたわ。その塔を取り仕切る賢者、落ち着いて……」
私にそう言われて、賢者ブリジットがハッ!とした。
「つ、つい……この双子のペースに巻き込まれてしまう……」
「トトとテテは工房をたたむ気がないから、からかっているのよ」
「……このことは、ミラ様には内緒にしといておくれよ?」
ルノールの民にとって長は絶対的な存在らしい。わかってるわと私は苦笑した。
トトとテテは私と賢者が話してる間も部品の組み立てをしていた。魔石をはめ込む。その手早さと正確さはすごい。彼女らはやはり天才にふさわしい。だから賢者ブリジットもムキになり、本気になってしまうのだろう。
「賢者ブリジット、協力を感謝するわ」
私が心からそういうと、フッと真面目な顔になる。ブリジット。
「こちらこそミラ様のことをお願いしている立場である。………ルノールの民を代表し頭を下げる」
賢者ブリジットが頭を下げたーーー!?とざわつくスタッフ達。
「我が一族は長が現れた時は全力で力になるようにと言われ続けていた」
私は……ん?と首を傾げた。
「ちょっと、聞きたいけど、それなら、あんな迷路とか必要なかったでしょ?」
あれは趣味だ!迷路を試したい好奇心だ!と笑う賢者ブリジットもまたなかなかの人なのであった。最初から協力する気だったのに研究の材料に私達をしたのねと苦笑するしかなかった。
『完成なのだ!』
二人が声を揃える。ブリジットが、出来栄えを確認。
「まあ、これで発動するであろう。……天空の地へ無事に行けることを願っている」
ありがとうと私とブリジットは握手をかわした。この世界は謎に満ちている。だからこそ考えることは楽しい。知識を得ることは楽しい。没頭し夢中になることは楽しい。
双子ちゃんと賢者ブリジットを見ていると、そう思うのだった。
「さすが天才発明家と自称するだけある」
「フォスター家の双子、恐るべし」
知識の塔の人達が細かい部品を見て、感心している。この部品を現地に持っていってはめ込むらしい……と、私も構造がよくわからないけど、そう聞いた。
「待て!そのアレンジはなんだねっ!?」
赤、青、黄色……信号の色?という派手な配色の服を着た賢者ブリジットがトトとテテを止める。
「アレンジとか言わないでほしいのだー」
「こっちのほうが座標地点を正確に計測できるのだ」
ぷるぷると震える賢者ブリジット。
「なっ、なにを改造しているーっ!?先祖代々、伝わってきた由緒正しき図面なのに!?」
はぁ?と双子ちゃんが、両手を広げてみせる。
「古きものに固執するのは良き時と悪き時があるのだ」
「賢者ブリジット、老いたのだー」
なんだとーっ!と怒り出す。見ておれ!と部品の組み立てを素早くしていく。おおーっ!と拍手する周囲の人達にブリジットはフフンと笑う。
トトとテテも負けてはいない。クルクルクルと工具を回して、ビシッとブリジットに宣戦布告。細かい部品をキチッと負けじと素早く嵌め込んだ。おおおーっ!と周囲がまた拍手。
「トトさんとテテさんも知識の塔にくればいいのに……」
そうスタッフの1人が言うと、他の人もそうだそうだと頷く。
「一緒に切磋琢磨しましょうよ!」
「お二人なら、賢者ブリジットの相手もお手の物って感じがしますしね」
「我々の良い刺激にもなる!」
トトとテテがニヤッとした。
「賢者ブリジットの座を我らがとってしまうのだ」
「このっ!たわけ!そんなことができるとおもうのかいっ!」
「ためしてみるのだ?」
賢者ブリジットが双子ちゃんの自信を見て、ぷるぷる震えた。
「ほぅ?本気で賢者を怒らせたな!」
私ははぁ……と溜息をついた。
「賢者ブリジット、大人げないわ。エスマブル学園の出身者なら、誰もが憧れる知識の塔。私も憧れていたわ。その塔を取り仕切る賢者、落ち着いて……」
私にそう言われて、賢者ブリジットがハッ!とした。
「つ、つい……この双子のペースに巻き込まれてしまう……」
「トトとテテは工房をたたむ気がないから、からかっているのよ」
「……このことは、ミラ様には内緒にしといておくれよ?」
ルノールの民にとって長は絶対的な存在らしい。わかってるわと私は苦笑した。
トトとテテは私と賢者が話してる間も部品の組み立てをしていた。魔石をはめ込む。その手早さと正確さはすごい。彼女らはやはり天才にふさわしい。だから賢者ブリジットもムキになり、本気になってしまうのだろう。
「賢者ブリジット、協力を感謝するわ」
私が心からそういうと、フッと真面目な顔になる。ブリジット。
「こちらこそミラ様のことをお願いしている立場である。………ルノールの民を代表し頭を下げる」
賢者ブリジットが頭を下げたーーー!?とざわつくスタッフ達。
「我が一族は長が現れた時は全力で力になるようにと言われ続けていた」
私は……ん?と首を傾げた。
「ちょっと、聞きたいけど、それなら、あんな迷路とか必要なかったでしょ?」
あれは趣味だ!迷路を試したい好奇心だ!と笑う賢者ブリジットもまたなかなかの人なのであった。最初から協力する気だったのに研究の材料に私達をしたのねと苦笑するしかなかった。
『完成なのだ!』
二人が声を揃える。ブリジットが、出来栄えを確認。
「まあ、これで発動するであろう。……天空の地へ無事に行けることを願っている」
ありがとうと私とブリジットは握手をかわした。この世界は謎に満ちている。だからこそ考えることは楽しい。知識を得ることは楽しい。没頭し夢中になることは楽しい。
双子ちゃんと賢者ブリジットを見ていると、そう思うのだった。
10
お気に入りに追加
408
あなたにおすすめの小説
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
聖女級の治癒力でも、魔族だとバレるのはよくないようです ~その聖女、魔族で魔王の嫁につき~
稲山裕
ファンタジー
これは、不幸な死に方をした人々を救うために、女神が用意していた世界。
転生者は皆、何かしら幸せを感じられるように、何らかの力を持って転生する。
人間の国ではその力を重宝されて地位や名声を得ているし、脳筋でも勇者と称えられる。
今回そこに落ちたのは、女子高生サラ。
人ではなく魔族として転生したせいで、他の転生者とは違って魔王の元に……というか、魔王の妻になってしまった。
女神の手違いか、それとも意図通りか。
手荒な歓迎を受けるも、持ち前の性格のお陰でそれなりに楽しく過ごしていたが……。
授かったはずの治癒魔法は、魔族には全く不要な力だった。
それから数カ月――。
魔王城の生活に慣れてきた頃、せっかくだから治癒魔法を学びたいと言ったばかりに、人間の国に放り出されることになる
。
《この作品は『小説になろう』、『カクヨム』、『アルファポリス』、『テラーノベル』でも投稿しています》
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。
【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる