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練習しても無理なら発想でカバーする
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秋の清々しい空。青い空が高く感じる。チリンチリンとベルを鳴らして、私は『花葉亭』に自転車出勤した。歩いても近いけど、たまに乗りたくなるのよね。帰りに湖一周しても気候的に気持ちいいかもしれない。
「えー!なにそれ!すっごくすっごく楽しそうなんだけどー!」
玄関のドアを拭いていたミラが駆け寄ってきた。
「自転車ってやつよー。けっこう便利だとおもうけど、私とリヴィオ以外は乗らないかな……練習がいるの」
やってみたい!とミラは意欲的に自転車に乗って見るが……。
「足がつかないーっ!バランスがいるのね……。うわっ!待って!後ろの手を離さないでー!動かしてはだめ!」
私が後ろで支えている状態でしばし待つ。動かしてはだめってどうしたらいいの!?戦闘訓練受けてる神官なんだし、運動神経はバツグンだと思うから、少し練習すればいける気がするけど……サイズが問題なのかしら?
「トトとテテに小さい自転車作ってもらう?」
「うーん……うーん……」
悩んでる。
「悔しいから、ちょっと練習してみるわ!」
負けず嫌い。
「そう……怪我には気をつけてね」
ミラの性格が、微妙に私に似てる気がした。
しばらくして、トトとテテがミラの自転車の練習風景をたまたま見かけたらしい。
「え?フリッツが!?練習に付き合ってるの!?」
私とリヴィオの監視者兼護衛と言われて騎士団から派遣されてる彼はすっかりナシュレに馴染んでいて、本来の目的を最近忘れている。
リヴィオに近寄れば、こき使われるので、避けてるのかもしれないが……。
「乗れそうだった?」
トトとテテは顔を見合わせて苦笑した。
『ぜーんぜんなのだー!』
そ、そう……無理なのね……。
「預かってる身としては、怪我をさせると、キサに申し訳ないわ」
信頼して預けてくれてるのだからと、親戚の子を預かってるような気持ちになる。
「うーん、それなら良い考えがあるのだ!」
「改造するのだ!」
え?と私が疑問符を浮かべていると双子ちゃんはクスクス笑いながら工房へと消えた。
その数日後だった。
「セイラー!見てー!」
自転車に乗るミラが余裕で手を振っている。
「うわー!頑張ったわね!乗れた………乗れた………乗れてない?」
トトとテテがフフンと笑った。
「この形なら心配ないのだ!」
「子供でも練習無しなのだ」
こ、これは三輪車!?後ろに二つタイヤがあり、前に一つ。おじいちゃんおばあちゃんが乗ってるものに似てるような?と心の中で思う私だった。でもデザイン性はともかく、こっちのが安全性はある。
確かに、練習しなくても、皆が気軽に乗れ、楽しめる物の方がいいよねと思い、私はオシャレ感は捨てるところだと思い、言葉を飲み込んだ。
しかし『皆が乗れる物』それはとても大事だったらしく、三輪車タイプはその後に流行ったのだった。
ミラとトトとテテのおかげで、湖の周りを他の人達もサイクリングする楽しい姿を見かけるようになった。
「フッフッフッ!私は先見の明があったわね!」
得意げなミラだったが、私は知っている。
もう練習飽きた!もう嫌!練習無しでいけるやつを作って!とトトとテテの工房に駆け込んだことはどうやら内緒らしく私には言わない彼女だった。
「えー!なにそれ!すっごくすっごく楽しそうなんだけどー!」
玄関のドアを拭いていたミラが駆け寄ってきた。
「自転車ってやつよー。けっこう便利だとおもうけど、私とリヴィオ以外は乗らないかな……練習がいるの」
やってみたい!とミラは意欲的に自転車に乗って見るが……。
「足がつかないーっ!バランスがいるのね……。うわっ!待って!後ろの手を離さないでー!動かしてはだめ!」
私が後ろで支えている状態でしばし待つ。動かしてはだめってどうしたらいいの!?戦闘訓練受けてる神官なんだし、運動神経はバツグンだと思うから、少し練習すればいける気がするけど……サイズが問題なのかしら?
「トトとテテに小さい自転車作ってもらう?」
「うーん……うーん……」
悩んでる。
「悔しいから、ちょっと練習してみるわ!」
負けず嫌い。
「そう……怪我には気をつけてね」
ミラの性格が、微妙に私に似てる気がした。
しばらくして、トトとテテがミラの自転車の練習風景をたまたま見かけたらしい。
「え?フリッツが!?練習に付き合ってるの!?」
私とリヴィオの監視者兼護衛と言われて騎士団から派遣されてる彼はすっかりナシュレに馴染んでいて、本来の目的を最近忘れている。
リヴィオに近寄れば、こき使われるので、避けてるのかもしれないが……。
「乗れそうだった?」
トトとテテは顔を見合わせて苦笑した。
『ぜーんぜんなのだー!』
そ、そう……無理なのね……。
「預かってる身としては、怪我をさせると、キサに申し訳ないわ」
信頼して預けてくれてるのだからと、親戚の子を預かってるような気持ちになる。
「うーん、それなら良い考えがあるのだ!」
「改造するのだ!」
え?と私が疑問符を浮かべていると双子ちゃんはクスクス笑いながら工房へと消えた。
その数日後だった。
「セイラー!見てー!」
自転車に乗るミラが余裕で手を振っている。
「うわー!頑張ったわね!乗れた………乗れた………乗れてない?」
トトとテテがフフンと笑った。
「この形なら心配ないのだ!」
「子供でも練習無しなのだ」
こ、これは三輪車!?後ろに二つタイヤがあり、前に一つ。おじいちゃんおばあちゃんが乗ってるものに似てるような?と心の中で思う私だった。でもデザイン性はともかく、こっちのが安全性はある。
確かに、練習しなくても、皆が気軽に乗れ、楽しめる物の方がいいよねと思い、私はオシャレ感は捨てるところだと思い、言葉を飲み込んだ。
しかし『皆が乗れる物』それはとても大事だったらしく、三輪車タイプはその後に流行ったのだった。
ミラとトトとテテのおかげで、湖の周りを他の人達もサイクリングする楽しい姿を見かけるようになった。
「フッフッフッ!私は先見の明があったわね!」
得意げなミラだったが、私は知っている。
もう練習飽きた!もう嫌!練習無しでいけるやつを作って!とトトとテテの工房に駆け込んだことはどうやら内緒らしく私には言わない彼女だった。
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