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日常の幸せはかけがえのないもの

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 私は日本に居て、楽しく過ごして笑い合ってるシンヤ君とカホの夢を見ていた。二人の姿はとても嬉しくて幸せな気持ちになった。

 いきなり名を呼ばれた。カホ?……違う。良く聞いたことのある声。

「セイラ!」

 ハッとして起きたが、体を上手く動かせない。覗き込んでいたのは、私がよく知っている金色の目だった。

「リヴィオ!?あれ?私……死んじゃったんじゃ?」

 バカかよ!と言って、私の顔に触れて金色の目からこぼれる涙がポタポタ頬に落ちてくる。

「おまえ、オレを泣かしすぎだろーっ!何回目だよっ!」

「……リヴィオ、ごめんね」

 あまり泣かない彼を泣かせているのは私だ。私だけのためにリヴィオはそんな感情を見せる。とても悪いことをした気になる。

「謝るなよ。謝るのはオレだ。守れなくて悪かった。ごめん」

「いつも守ってくれるじゃない。私、あなたを守りたかったの。リヴィオが生きてて良かった」

 なぜだろう?カホのありがとうと言った言葉が耳に残っている。元気で明るい彼女は私に力をくれる。きっと今頃はシンヤ君と二人で雨の中でも仲良く帰ってるころねとフフフッと笑った。

 私の笑顔に目を細めて、優しい顔になるリヴィオ。

「いつも通りの強気でヤンチャなリヴィオでいてほしいわ。なんだか……調子狂っちゃうじゃない」

「セイラが一緒にいないと無理みたいだ。こんなに自分の強さが脆いなんて思わなかった」

 泣いてる彼を抱きしめたいけど、まだ体が動かない。我慢していた涙が私は溢れてきた。言わないでおいた本音が出てしまう。

「やっぱり私もここで、一緒に生きたいの……リヴィオと一緒に、みんなと一緒にまだいたいの。本当はさよならなんてしたくなかったの!一緒に生きることを諦めたくなかったの!」

 リヴィオは返事をする代わりにギュッと私を抱きしめた。

 静かな部屋に満ちた幸せをしばらく私とリヴィオは噛み締める。シンヤ君とカホが助けてくれた話には驚いたけれど、私が見ていた二人の姿は夢ではなかったのだとわかった。助けに来てくれるなんて、本当に嬉しい。

 しばらくして体力が戻ってから、ナシュレへ帰った。

 馬車から降りると、待ち構えていたらしいトトとテテが駆け寄ってきた。ドーーーーーンと横にいたリヴィオが突き飛ばされる。イノシシ……かな?

「うわーーーん!セイラーーー!」

「よかったのだ!心配したのだ!」

 泣きながら抱きつく双子ちゃん。リヴィオがおいっ!と怒る。

「おまえら、なにするんだよーっ!今の絶対、わかっててしてるだろ!?」

 キッ!とリヴィオはトトとテテに睨まれている。

「セイラを守れなかったやつが言うセリフではないのだっ!」

「海の藻屑にされないだけマシと思うのだ!」

「責める権利なんてないって……言ってたんじゃなかったのかよ!?」
 
 そう反論するリヴィオにジーニーがアハハと笑って言う。

「安心したら、本音が出たかな?」

「はあ!?おいっ!セイラから離れろよーっ!」
 
 抱きつく双子ちゃんにリヴィオが怒るが二人にシッシッと追い払われている。

「セイラ様!」「奥様!」

 屋敷の人達が一斉に外へなだれ込むように出てきた。中には涙を流している人までいた。

「ご無事で!!」

「戻ってこられて、良かった!」

 中でも庭師のトーマスは号泣していた。男泣きに泣いていた。

「セイラ様ーーっ!一時はホントにどうなるかと思いましたよおおおおお!」
  
 私は笑った。みんなの顔を見て、ナシュレへ帰ってきたんだと実感できた。

 カホ、シンヤ君……私をここに帰してくれてありがとう。また、ここで過ごす未来を描くことができるなんて幸せすぎるの。ありがとう。
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