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銭湯掃除の楽しさ
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ヨイチと私は街に来ていた。今日は銭湯の掃除日でゴシゴシとデッキブラシでタイルをこする。泡だらけになるが、楽しい作業だ。
私は掃除スタイルの服装にし、袖をキュッと紐でとめて縛り上げ、髪はまとめてやる気十分!
「セイラさんが掃除に来るなんて驚いたな。それに魔法で片付けてしまえばいいのに、なぜしないのかなぁー?」
そうめんどくさそうに、デッキブラシの柄の先に顎をのせて言うヨイチ。
「皆が魔法を使えるわけじゃないでしょ。私、こうやって、皆で泡だらけになりつつ、磨くことは嫌いじゃないのよ。ヨイチ、鼻に泡ついてるわよ?」
フフッと私が笑ってヨイチの泡を手でとってあげる。ヨイチは少し顔を赤らめる。
「……シン……リヴィオがセイラさんを好きになる気持ちがわからなくもないな」
「え!?なんで今、リヴィオの名前がでるのよ!?」
キャッキャとスタッフ達も楽しげに掃除をしている。私は冷たい水を流す。サアッと流れていく泡。このフェンディム王国の真夏の気候が銭湯掃除の楽しさを増している。
「日本でプール掃除をしたことない?似てないかな?けっこう私は好きだった記憶があるんたけど?」
「あ!なるほど……確かにプール開き前の掃除だね」
「やっぱりそう思う!?これでセミの音が聞こえたら完璧よ」
青いプールの底。揺れる水をかきわけて泳ぐ。セミの音。日本の夏がどこか懐かしく感じる。ヨイチも思い出しているのか、懐かしそうに目を細めて微笑んでいる。
浴場を洗い終わると、シュワシュワしたサイダーの様にさっぱりした気持ちになる。
お疲れ様!とヨイチにアイスクリームを渡す。ありがとうと言い、ヨイチはひんやり冷たいバニラアイスクリームを嬉しそうに口にする。そうしていると、見た目は普通の小学生だ。
「おーいっ!ひと汗かいたあとのアイスクリームはうまいかー!?」
アサヒがアハハハと笑いながら登場した。麦わら帽子に甚平、草履姿で登場した。これに虫取り網と虫かごがあれば完璧な夏休み真っ最中の少年である。
「終わった頃にくるなよなー」
ジト目で見られるが、アサヒはパトロールしてきたんだぞ!と言い返す。私は苦笑しつつ、アサヒにもアイスクリームを渡す。やった!と喜んで受け取った。
容姿イコール年齢ではないと頭ではわかっているのに、この二人の無邪気な性格もあるのか、どうしても可愛く思えてしまう私なのだった。
「自分達の力でなんでも生み出せる!なんてオレたちは調子にのっていた時もあったんだ」
アイスクリームを食べながらアサヒが話し出す。スタッフ達にも、私はお疲れ様でしたーとアイスクリームを振舞いながら、え?と聞き返す。
「でもさー、実際、今までやってみて無力だなって思うこともあったし、こうやってセイラさんのように、イチから物作りをしているのをみると、そういうのも、やっぱり良いなぁとか思うんだよな」
「アサヒにしてはやけに真面目に考えているんだね」
「アハハッ。たしかに!こういうことは、ヨイチのほうが分析得意なんだよなー!」
二人は楽しげにそう言って笑う。賢い子たちだと思う。それほど欲も無く、力に溺れていないこともわかる。だからこそ守護者に選ばれたのかもしれない。
銭湯から三人で出ていくと、少し空が曇っていた。黒い雨雲がやってくるのが見える。
「雨が降りそうだな」
嫌そうにヨイチが言う。すぐやむだろとアサヒはカラッとした物言いで言う。こちらの雨は夏の雨でスコールみたいなものだから、確かに長雨にはならない。雨の前のムツとした蒸し暑さが立ち込める。
「……セイラか?」
名を呼ばれた私は振り返り、息を呑む。そして私は身動きがとれなくなった。
私は掃除スタイルの服装にし、袖をキュッと紐でとめて縛り上げ、髪はまとめてやる気十分!
「セイラさんが掃除に来るなんて驚いたな。それに魔法で片付けてしまえばいいのに、なぜしないのかなぁー?」
そうめんどくさそうに、デッキブラシの柄の先に顎をのせて言うヨイチ。
「皆が魔法を使えるわけじゃないでしょ。私、こうやって、皆で泡だらけになりつつ、磨くことは嫌いじゃないのよ。ヨイチ、鼻に泡ついてるわよ?」
フフッと私が笑ってヨイチの泡を手でとってあげる。ヨイチは少し顔を赤らめる。
「……シン……リヴィオがセイラさんを好きになる気持ちがわからなくもないな」
「え!?なんで今、リヴィオの名前がでるのよ!?」
キャッキャとスタッフ達も楽しげに掃除をしている。私は冷たい水を流す。サアッと流れていく泡。このフェンディム王国の真夏の気候が銭湯掃除の楽しさを増している。
「日本でプール掃除をしたことない?似てないかな?けっこう私は好きだった記憶があるんたけど?」
「あ!なるほど……確かにプール開き前の掃除だね」
「やっぱりそう思う!?これでセミの音が聞こえたら完璧よ」
青いプールの底。揺れる水をかきわけて泳ぐ。セミの音。日本の夏がどこか懐かしく感じる。ヨイチも思い出しているのか、懐かしそうに目を細めて微笑んでいる。
浴場を洗い終わると、シュワシュワしたサイダーの様にさっぱりした気持ちになる。
お疲れ様!とヨイチにアイスクリームを渡す。ありがとうと言い、ヨイチはひんやり冷たいバニラアイスクリームを嬉しそうに口にする。そうしていると、見た目は普通の小学生だ。
「おーいっ!ひと汗かいたあとのアイスクリームはうまいかー!?」
アサヒがアハハハと笑いながら登場した。麦わら帽子に甚平、草履姿で登場した。これに虫取り網と虫かごがあれば完璧な夏休み真っ最中の少年である。
「終わった頃にくるなよなー」
ジト目で見られるが、アサヒはパトロールしてきたんだぞ!と言い返す。私は苦笑しつつ、アサヒにもアイスクリームを渡す。やった!と喜んで受け取った。
容姿イコール年齢ではないと頭ではわかっているのに、この二人の無邪気な性格もあるのか、どうしても可愛く思えてしまう私なのだった。
「自分達の力でなんでも生み出せる!なんてオレたちは調子にのっていた時もあったんだ」
アイスクリームを食べながらアサヒが話し出す。スタッフ達にも、私はお疲れ様でしたーとアイスクリームを振舞いながら、え?と聞き返す。
「でもさー、実際、今までやってみて無力だなって思うこともあったし、こうやってセイラさんのように、イチから物作りをしているのをみると、そういうのも、やっぱり良いなぁとか思うんだよな」
「アサヒにしてはやけに真面目に考えているんだね」
「アハハッ。たしかに!こういうことは、ヨイチのほうが分析得意なんだよなー!」
二人は楽しげにそう言って笑う。賢い子たちだと思う。それほど欲も無く、力に溺れていないこともわかる。だからこそ守護者に選ばれたのかもしれない。
銭湯から三人で出ていくと、少し空が曇っていた。黒い雨雲がやってくるのが見える。
「雨が降りそうだな」
嫌そうにヨイチが言う。すぐやむだろとアサヒはカラッとした物言いで言う。こちらの雨は夏の雨でスコールみたいなものだから、確かに長雨にはならない。雨の前のムツとした蒸し暑さが立ち込める。
「……セイラか?」
名を呼ばれた私は振り返り、息を呑む。そして私は身動きがとれなくなった。
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