166 / 319
牧場へ行こう!
しおりを挟む
秋晴れで久しぶりにトーマスとトトとテテ達と一緒に牧場に来ていた。
「いい天気になってよかったのだー!」
「羊さんもいるのだー!触りに行くのだー!」
トトとテテは楽しげに駆けていく。遠足のような雰囲気。
もちろん、私は仕事を兼ねていた。旅館に出すための牛乳、チーズ、お肉……その視察をするためにきていた。
品質はいつも保ってもらっているが、たまに現地を実際に見ることを欠かさずにしている。
頑張ってくれてる牧場の方々に差し入れがてら、アイスクリームや秋の収穫物を馬車に積んできた。
「奥様、差し入れ喜びますよ!」
「うん。いつもお世話になってるもの」
トーマスは顔なじみの牧場主に手を振る。ちょっと太めの人の良い彼は10人家族の大家族で牧場を切り盛りしている。
「トトとテテからもお土産なのだ!」
え!?何を持ってきたのだろうか?トトとテテが箱を渡す。牧場主が開けるとそこには小さい………目覚まし時計!?
「早起きが大変と聞いたのだ」
「こうセットすると『リンリリーン』って音がなるのだ!」
アッハッハッハと笑って牧場主はおもしろい!とウケているが……これ……こないだ確か私ももらった。
トトとテテがニヤリと私を見た。
「リヴィオがこういう物が作れないか?と相談してきたのだ。それで時計職人のおっちゃんと作ったのだ」
「セイラがねぼすけだからなのだ」
リヴィオから手渡された目覚まし時計、たしかに便利だ。日本でも使っていた。
「リヴィオが目覚まし時計開発に関わっていたのね。どうりで、なんか懐かしい物というか……私にピッタリというか……」
朝の弱い私には必要だけども!……いいじゃない?現世はメイドさんたちに優しく起こしてもらってもいいじゃない!?
目覚まし時計を渡されるとは小学生か中学生のような扱いのようで、微妙な気持ちになる。
……まぁ、いいわ。と、気を取り直して、牧場を堪能する。
ヤギに草を上げたり、羊のふかふかとした毛を触らせてもらったり、馬に乗ったり、トトとテテもキャアキャア言いながら楽しんでいた。
「美味しいもの用意しましたよー!」
トーマスが呼ぶ。牧場の人達と一緒に外のテーブルに用意してくれた物があった。
「うわぁ。チーズフォンデュね!」
私は目を輝かせる。トトとテテはすでにちゃっかり椅子に座って準備万端!
自家製チーズ、自家製パン、ヨーグルト、牛乳、野菜、お肉やベーコン、ソーセージなどが並べられる。
とろとろチーズをソーセージに絡めて食べる。美味しすぎる!次はパンを絡めてみようかなー。
「とっても美味しいです。ありがとうございます!」
私は頬に手をやって幸せーと食べる。
「そんなに美味しそうに食べてくれるなんて、嬉しいよ!」
「セイラ様は基本、食いしん坊ですからね!」
牧場主とトーマスは笑いながらそう言う。
美味しいもののお礼に牧場の仕事を少し手伝って行く。私は牛に牧草を運ぶ。ちゃんと労働用の服も持ってきていたのだ。
一方、トトとテテはキャー!と牧草の山から滑り落ちていて、こらー!お姉さんたち!と牧場の子どもたちに怒られていた。
しかしその後、二人は子どもたちと仲良くなり、一緒に遊び、子守り係をしていた。
「セイラ様は以外と手際いいですね!」
褒められてしまった!バシュレ家で雑用していたスキルがこんな時に役立つとは思わなかった。いえいえと言いつつも、褒められて嬉しくなる単純な私だった。
ちなみにトーマスは本当に人足の一人となっていて、テキパキと動き、さすがだった。
帰りにありがとうとお礼の品を貰ってしまい……逆に申し訳なかった。自家製チーズにヨーグルトにチーズケーキをくれた。
「また旅館に美味しい素材をよろしくお願いします!」
「任せといてくださいよ!」
そう言って、牧場の人達は馬車が見えなくなるまで手を振り、見送ってくれたのだった。
肉体労働の後と言えば、やはり温泉だろう!トトとテテと一緒にまったりお風呂に入る。
「筋肉ほぐしておかないと、筋肉痛になるわよね」
温かいお湯の中で足や腕をモミモミする。
「久しぶりに身体を動かしたのだ」
「牛さんも羊さんも可愛かったのだ」
いつもお風呂では、賑やかな二人だが、さすがに今日は疲れているようで、肩までゆっくり浸かって、ほわ~とした顔をし、のんびりしている。
薬草のお風呂に入っているとじんわりと体に温かさや効果が伝わってくる。青葉の薬草の香りも嫌いじゃない。
「疲れてるときは薬草風呂が一番ね」
「葉っぱ臭いけど、体に良い感じがするのだ」
「発明中の肩こりにもよく効くのだ」
二人は街の銭湯にも行っていることを明かす。いつの間にか、すっかり温泉を気に入って日常生活の一部となっているようだ。
「今日は楽しかったのだ!」
「誘ってくれてありがとうなのだ!」
双子ちゃんは頭にちょこんとタオルをのせて、お礼を言う。
「私の方こそ、トトとテテと一緒に行けて楽しかった。ありがとう」
『えへへへへ』
少し照れて、二人は顔を見合わせ笑った。
お風呂上がりに、いちごオ・レを体がホカホカしている三人で並んで飲んだ。喉が乾いたところに甘い味が染みていく。
こんなほのぼのとした、日常もたまにはいいものだった。
目覚まし時計はせっかくもらったので、使っていることを追記しておく。早起き頑張ろう……っと。
「いい天気になってよかったのだー!」
「羊さんもいるのだー!触りに行くのだー!」
トトとテテは楽しげに駆けていく。遠足のような雰囲気。
もちろん、私は仕事を兼ねていた。旅館に出すための牛乳、チーズ、お肉……その視察をするためにきていた。
品質はいつも保ってもらっているが、たまに現地を実際に見ることを欠かさずにしている。
頑張ってくれてる牧場の方々に差し入れがてら、アイスクリームや秋の収穫物を馬車に積んできた。
「奥様、差し入れ喜びますよ!」
「うん。いつもお世話になってるもの」
トーマスは顔なじみの牧場主に手を振る。ちょっと太めの人の良い彼は10人家族の大家族で牧場を切り盛りしている。
「トトとテテからもお土産なのだ!」
え!?何を持ってきたのだろうか?トトとテテが箱を渡す。牧場主が開けるとそこには小さい………目覚まし時計!?
「早起きが大変と聞いたのだ」
「こうセットすると『リンリリーン』って音がなるのだ!」
アッハッハッハと笑って牧場主はおもしろい!とウケているが……これ……こないだ確か私ももらった。
トトとテテがニヤリと私を見た。
「リヴィオがこういう物が作れないか?と相談してきたのだ。それで時計職人のおっちゃんと作ったのだ」
「セイラがねぼすけだからなのだ」
リヴィオから手渡された目覚まし時計、たしかに便利だ。日本でも使っていた。
「リヴィオが目覚まし時計開発に関わっていたのね。どうりで、なんか懐かしい物というか……私にピッタリというか……」
朝の弱い私には必要だけども!……いいじゃない?現世はメイドさんたちに優しく起こしてもらってもいいじゃない!?
目覚まし時計を渡されるとは小学生か中学生のような扱いのようで、微妙な気持ちになる。
……まぁ、いいわ。と、気を取り直して、牧場を堪能する。
ヤギに草を上げたり、羊のふかふかとした毛を触らせてもらったり、馬に乗ったり、トトとテテもキャアキャア言いながら楽しんでいた。
「美味しいもの用意しましたよー!」
トーマスが呼ぶ。牧場の人達と一緒に外のテーブルに用意してくれた物があった。
「うわぁ。チーズフォンデュね!」
私は目を輝かせる。トトとテテはすでにちゃっかり椅子に座って準備万端!
自家製チーズ、自家製パン、ヨーグルト、牛乳、野菜、お肉やベーコン、ソーセージなどが並べられる。
とろとろチーズをソーセージに絡めて食べる。美味しすぎる!次はパンを絡めてみようかなー。
「とっても美味しいです。ありがとうございます!」
私は頬に手をやって幸せーと食べる。
「そんなに美味しそうに食べてくれるなんて、嬉しいよ!」
「セイラ様は基本、食いしん坊ですからね!」
牧場主とトーマスは笑いながらそう言う。
美味しいもののお礼に牧場の仕事を少し手伝って行く。私は牛に牧草を運ぶ。ちゃんと労働用の服も持ってきていたのだ。
一方、トトとテテはキャー!と牧草の山から滑り落ちていて、こらー!お姉さんたち!と牧場の子どもたちに怒られていた。
しかしその後、二人は子どもたちと仲良くなり、一緒に遊び、子守り係をしていた。
「セイラ様は以外と手際いいですね!」
褒められてしまった!バシュレ家で雑用していたスキルがこんな時に役立つとは思わなかった。いえいえと言いつつも、褒められて嬉しくなる単純な私だった。
ちなみにトーマスは本当に人足の一人となっていて、テキパキと動き、さすがだった。
帰りにありがとうとお礼の品を貰ってしまい……逆に申し訳なかった。自家製チーズにヨーグルトにチーズケーキをくれた。
「また旅館に美味しい素材をよろしくお願いします!」
「任せといてくださいよ!」
そう言って、牧場の人達は馬車が見えなくなるまで手を振り、見送ってくれたのだった。
肉体労働の後と言えば、やはり温泉だろう!トトとテテと一緒にまったりお風呂に入る。
「筋肉ほぐしておかないと、筋肉痛になるわよね」
温かいお湯の中で足や腕をモミモミする。
「久しぶりに身体を動かしたのだ」
「牛さんも羊さんも可愛かったのだ」
いつもお風呂では、賑やかな二人だが、さすがに今日は疲れているようで、肩までゆっくり浸かって、ほわ~とした顔をし、のんびりしている。
薬草のお風呂に入っているとじんわりと体に温かさや効果が伝わってくる。青葉の薬草の香りも嫌いじゃない。
「疲れてるときは薬草風呂が一番ね」
「葉っぱ臭いけど、体に良い感じがするのだ」
「発明中の肩こりにもよく効くのだ」
二人は街の銭湯にも行っていることを明かす。いつの間にか、すっかり温泉を気に入って日常生活の一部となっているようだ。
「今日は楽しかったのだ!」
「誘ってくれてありがとうなのだ!」
双子ちゃんは頭にちょこんとタオルをのせて、お礼を言う。
「私の方こそ、トトとテテと一緒に行けて楽しかった。ありがとう」
『えへへへへ』
少し照れて、二人は顔を見合わせ笑った。
お風呂上がりに、いちごオ・レを体がホカホカしている三人で並んで飲んだ。喉が乾いたところに甘い味が染みていく。
こんなほのぼのとした、日常もたまにはいいものだった。
目覚まし時計はせっかくもらったので、使っていることを追記しておく。早起き頑張ろう……っと。
0
お気に入りに追加
405
あなたにおすすめの小説
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います
榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。
なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね?
【ご報告】
書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m
発売日等は現在調整中です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる